現在、私たちのグループでは、「葉緑体への蛋白質輸送」、「葉緑体 における物質輸送」を二つの大きな柱として研究を進めている。これら二つの研究テーマを行っている理由は、これらのテーマは密接に関連し ていること、そしてなにより、私が細胞内における物質の輸送に興味を持ってこれまで研究に携わってきたことが大きい。以下にそれぞれの研究 テーマに関する簡単な背景を述べる。さらに詳細な研究の背景、研究テーマに関しては、上のリンクを参照して欲しい。

私がこれまで実際に研究テーマとして携わってきたのは、物質の輸送といっても蛋白質の輸送、特に生体膜を介した輸送、すなわち膜透過で
ある(プロフィール参照)。図1に示すように蛋白質輸送は、遺伝情報の流れを規定したセントラルドグマの延長線
上にある翻訳後修飾の一つの大きな課題であり、その解明は基礎的に重要である。現在は、学位を取得してから始めた葉緑体への
蛋白質輸送に関する研究(葉緑体とは参照)を継続して行っている。
葉緑体とはの項で述べているが、葉緑体蛋白質の大部分は細胞質で合成された後、葉緑体
内部に輸送される。葉緑体内部では様々な代謝が行われている。したがって、これらの反応に関与する蛋白質(酵素)の大部分は細
胞質で合成された後、葉緑体内部に輸送される。したがって、葉緑体への蛋白質輸送機構の解明は葉緑体を用いた物質生産といった
応用面からも重要課題である。
上項、あるいは葉緑体とはの項で述べているが、葉緑体では様々な物質が合成されるが、これらの物質は 合成された後葉緑体に留まるのではなく、葉緑体の外部に排出され、植物の生育に用いられる。一方で、葉緑体外で合成された多くの生体物質が葉 緑体の内部に取り込まれる。図2に示すようにこれらの物質の葉緑体における輸出入には、それぞれの物質に特有の輸送蛋白質が存在することが考 えられているが、一部の例外を除いて、その存在する明らかとなっていない。そこでわれわれは、これらの輸送蛋白質に関する研究を最近開始した。 輸送蛋白質の研究も葉緑体を用いた物質生産と密接に関連した研究課題である。
