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INTERVIEW

愛媛県庁
インタビュー

2025/9/30

公務員
  • 日時:2025年7月22日(火)13:30~
  • 場所:愛媛県中予地方局
PROFILE
  • 松田 理恵(まつだ りえ)
    松田 理恵(まつだ りえ)
    卒業年:平成26年卒
    勤続年数:12年
    勤務先:愛媛県庁(中予地方局)農村整備第一課
    担当業務:
    ●農業用水の送水施設(送水管や分水工など)を整備する事業(かんがい排水事業)
    ●堤体や洪水吐等が老朽化した「ため池」を直す事業(ため池整備事業)
    ●地震が起きた時に危険な「ため池」を直す事業(ため池地震対策整備事業)
  • 川添 航広(かわぞえ かずひろ)
    川添 航広(かわぞえ かずひろ)
    卒業年:平成30年卒
    勤続年数:8年
    勤務先:愛媛県庁(本庁)農地整備課
    担当業務:
    ●老朽化した「ため池」を直す事業(ため池整備事業)に係る国や出先機関との調整
    ●基幹的な農道を整備する事業(農道整備事業)に係る国や出先機関との調整
    ●農業農村整備事業実施前後の現地における環境配慮に関する業務
ARTICLE
大学での学び/仕事と接点について

どのような大学生でしたか?

松田さん

松田さん

まあまあ真面目な学生だったと思います
弓道部に所属していましたが,大学生のうちにしかできないこと(旅行など)をもっと経験しておけばよかったと感じています
川添さん

川添さん

高知県出身で,大学時代は松山市で一人暮らしをしていました
不真面目でも,ものすごく勤勉でもない,一般的な一人暮らしの学生生活を送っていました
ソフトボール部に所属し,部活動やアルバイトをしながら,試験も何とかクリアしていました

特にどの学習が今の仕事に役に立っていますか?

松田さん

松田さん

〇 構造力学・土質力学・水理学
現在はため池などの水に関わる業務を担当しており,これらの分野の知識が非常に活きています.学生時代にもっとしっかりと学んでおくべきだったと感じています
〇 実験
大学での実験で経験した内容が,実際の現場でも応用されています.当時の教科書を読み返しながら業務に役立てることもあります
川添さん

川添さん

〇 構造力学・土質力学・水理学
設計自体は外部の設計コンサルタントに委託しますが,設計内容の確認やトラブル対応時に,これらの知識が非常に役立ちます. 基礎的な内容が頭に入っていれば,調査や判断がスムーズに進みます.もっと体系的に記憶に残るように学んでおけばよかったと感じています

就活中の自分にアドバイスするなら?就職先選びの基準は?

松田さん

松田さん

「なぜこの仕事に就きたいのか」,自分のやりたいことを明確にしておくことが大切だと思います
川添さん

川添さん

私は福利厚生を基準に就職先を選びました
高知県出身ですが,大学進学で愛媛県(松山市)に住んでみて,非常に暮らしやすかったこともあり,愛媛県庁を志望しました.民間企業も受けて,幅広く選択肢を持つことが重要だと思います

就活時に他の選択肢と比較して,今の職場を選んだ理由や魅力はどこですか?

松田さん

松田さん

国家公務員や建設コンサルタントも併願していましたが,最終的には愛媛県庁を選びました
国家公務員は全国転勤がある一方で,愛媛県庁は県内での勤務が中心です.「地元で働きたい」という思いが強かったため,愛媛県庁に魅力を感じました. また,建設コンサルタントは細かい作業が多く,設計といった特定の業務に特化している印象がありました. それに対して,愛媛県庁では工事や全体の計画にも携わることができ,設計だけでなく,業務全体を見渡せるところが大きな魅力です. さらに,安定性や福利厚生の充実も,公務員としての魅力だと感じました
川添さん

川添さん

建設コンサルタントなどの民間企業へのイメージや実際に働く先輩からの声などから大変そうだなという先入観を持っていました. 一方で,県職員は安定しており,福利厚生も整っている点に魅力を感じ,愛媛県庁を志望しました
仕事内容・やりがいについて

1日の大まかな業務の流れは?

松田さん

松田さん

時期によって業務内容が大きく異なります.現在は発注の多い時期で,主に設計書の作成を行っています
8:20頃 出庁 → 書類・PC準備 → 8:30 朝礼 → 午前・午後 設計書作成 → 17:15 退庁(子どもの迎えあり)

工事が始まる時期には,午前と午後で異なる現場に出るなど,現場中心の日もあります. 決まったスケジュールではなく,状況に応じた柔軟な対応が求められます
質問者

質問者

時期によっては内業中心の日も,外に出る日もあるということですね?
松田さん

松田さん

はい,日によって半々になることもあります. 例えば,午前に現場確認,午後に書類作成という具合です. 毎日違うことが起こるため,その都度対応しています
川添さん

川添さん

基本的な勤務時間や朝礼は松田さんと同じですが,本庁の農村整備課に所属しているため,自身で現場を持っておらず,主にデスクワークを行っています. 本庁では,国の制度説明会や新システムの研修など,説明会・会議が多く,主催者として準備を行うこともあります. 例えば,来週の環境に関する会議の資料作成は,2〜3週間かけて進めていました
松田さん

松田さん

私は出先にいるので,川添さんが主催する会議に参加する側です. 川添さんのように,自ら会議を開催するというのは出先と本庁の大きな違いですね. 出先は実際に現場へ行って工事を動かす立場ですが,本庁は制度設計や全県的な業務が中心なので,現場に行く機会は少ないです

実際に働いて感じた,職場の魅力を教えてください?

松田さん

松田さん

これまで配属された事務所の課長や上司からよく言われたのは,「仕事は一人でするものではなく,組織でするものだ」という言葉です

問題があれば,皆で考える雰囲気があります. 私は声が大きい方なので,何か話していると,周囲の人が自然と関心を持ち,話に加わってくれることも多く,そうしたチームワークの良さに助けられています. また,設計書は個人で作成し,責任を持って決裁を受けに行きますが,工事を進める上では,一人で抱え込まずに相談できる環境が整っていると感じています
川添さん

川添さん

私が働いていて特に良かったと感じるのは,有給休暇が取りやすいことです

業務の切れ目で「午後から休みたい」と申し出ると,柔軟に対応してもらえます. 自分の業務の進め方次第で休みが取りやすいのは,非常にありがたいです
管理職の職員

管理職の
職員

私たちも「積極的に休みを取ってください」と声をかけるようにしています
若手職員が安心して休めるよう,監督者として配慮を重ねています. また,私たち自身も率先して休みを取得しており,休暇を取得しやすい雰囲気づくりに取り組むなど,働き方改革を進めています

技術士など,取得された資格があれば教えてください

松田さん

松田さん

私は「1級土木施工管理技士」と「土地改良換地士」の資格を取得しました. 換地士は,あまり聞き馴染みのない資格かもしれません
質問者

質問者

それらの資格を取ろうと思ったきっかけや,勉強のご苦労について教えてください
松田さん

松田さん

1級土木施工管理技士は,建設部に所属していたときに取得しました. 同期にやる気のある人が多く,一緒に勉強しようという雰囲気がありました. 上司からも「取ってみたら?」と勧められ,みんなで受験しました

換地士は,農村整備課に配属された1年目の頃に取得しました. 当時は,ほ場整備を「花形業務」だと感じており,将来の業務に備えて勉強を始めました. ちょうど研修会が開催されていたこともあり,その流れで取得することができました. 勉強は図書館に通って,集中して取り組みました
川添さん

川添さん

私は,来年度に「1級土木施工管理技士」を受験する予定です. 同期を見ても,取得している人は半分ほどという印象です

技術士資格の取得の重要性について,どのようにお考えですか?

松田さん

松田さん

取得そのものよりも,勉強する過程が活きてくると感じています
資格を取得して名刺に書けるからというよりは,学びの過程が大切であり,さまざまなきっかけになるのではないかと思います

実際,取得している方の話では,建設コンサルタントとの業務の中で,同じ土俵で技術的な会話ができることが大きな動機だったという声もあります. 学びを通じて自身の知識の基礎が形成され,技術力を公的に証明できる資格であるとも言えます

愛媛県の場合,資格取得による金銭的なメリットはありませんが,農政の方向性や全体像を理解することに繋がる学びは,日々の業務に活かされます. 例えば,圃場整備,ストックマネジメント,ため池の整備など,技術的な知識が必要な場面が多くあります. 農業土木全般の知識を継続して学ぶ必要がある点は大変ですが,その分やりがいも大きい仕事です
キャリアパス・展望について

今の職場では,どのようなステップアップの道がありますか?

川添さん

川添さん

これまで3か所の配属先で,異なる仕事内容を経験してきました. 現時点では,明確な実感はありませんが,資格取得を目指したり,自分に向いている分野を見極めたりしながら,将来の方向性を定めていきたいと考えています
松田さん

松田さん

「ステップアップ」と聞かれると,あまりその実感はありません. ただ,技師から主任へ役職が変わり,12年間の現場経験を積んできました. 今後,職員数の減少により,若いうちから上の立場になる可能性もあると思うので,もっと経験を積み,部下を指導できる人材にならなければいけないと感じています

また,愛媛県庁でのキャリアパスのイメージはおおよそ以下のようになっています

愛媛県庁のキャリアパスイメージ
• 1~3年目:出先事務所で,工事の設計・発注・現場監督業務を担当
• 4~6年目:農業土木系学部出身者は土木部門へ,土木系学部出身者は農業土木部門へ異動し,土木・農業土木の両方の経験を積む
• 7~9年目:本庁へ異動し,予算や国との調整など,全体調整業務を経験
• 10年目以降:本人の適性や希望に応じて,さまざまなキャリアを歩む
• 20年目ごろ:係長に昇進し,部下の指導・育成にあたる
• 30年目ごろ:管理職に昇進し,複数の係のマネジメントを担当
• その後:課長試験を経て,課長になると課全体のマネジメントを行う

今後,身につけたいスキルや資格はありますか?

松田さん

松田さん

コンクリートに関する知識を深めたいと考えています
コンクリートには多くの種類があり,ひび割れの原因一つとっても複雑で,「なぜこのひび割れが起きたのか」と考える機会が多くあります. 建設部で橋梁点検などに携わった際に興味を持ち,より専門的に学びたいと思うようになりました

また,今後後輩ができて指導する立場になっていく中で,マネジメントのスキルも必要になると感じており,勉強していきたいです
川添さん

川添さん

出先では現場中心の業務を行ってきましたが,現在は本庁に異動し,より大きな視点で農業土木全体を見るようになりました. 技術的な知識はもちろんですが,日本の農政が今後どのような方向へ進むのか,その中で自分は何をすべきかを考え,広い視野と明確なビジョンを持って仕事に取り組みたいと考えています
最後に

高校生や大学生,就活生などに向けて,愛媛県庁やこの仕事の魅力をアピールをお願いします

松田さん

松田さん

公務員の魅力は,やはり安定性があることです.また,愛媛県庁では,みかんをはじめとした多様な特産品に関わる農村整備を通じて,地域の農業全体を支えるやりがいもあります
一般的な土木は社会インフラの整備が中心ですが,農業土木は地域の特産品を活かした産業振興に直接つながるため,別のやりがいを感じる仕事です
川添さん

川添さん

私が愛媛県を選んだ理由の一つは,「総合土木職」として応募できることです.他県では農業土木に限定されることもありますが,愛媛県では土木・農業土木の両方を経験できる可能性がある点が魅力でした. また,設計から施工,完成までの一連の流れに携われることも,大きな魅力です
管理職の職員

管理職の
職員

たとえば,傾斜地にあるみかん畑を整備し,作業しやすい農地にする取り組みを行っています.品種の多様化に対応した農地整備が求められており,農業振興に直結する重要な仕事です

民間との違いは,構想・設計・施工・監督まで一貫して地域とともに関われる点です.施設が完成し,地元の方に使ってもらえるところまで伴走できるのは,公務員ならではの醍醐味です

言わば,地域づくりの“プロデューサー”として活動できる点が,この仕事の大きな魅力だと感じています

また,次のような点も愛媛県庁で働く上での魅力です

○仕事の特徴と規模感
県庁は,国と市町村の中間的な立ち位置にあり,広い範囲での事業を進めながら,地域の人々とも密接に関われる点が魅力です. 愛媛県庁では,「みかん県」として柑橘の発展に力を入れており,政策レベルでの取り組みにも関与できます

また,業務の進め方としては,「この地域では何が困っているのか」「どうすれば解決できるか」を自ら考え,地域の課題解決に向けた計画を自分の手で立てられる点が,県庁職員の仕事の大きなやりがいです

○研修制度
新規採用職員インストラクター制度をはじめとした,充実した研修体制が整っています

○育児休業制度(育休)
育児休業については,管理職が半年以上前から計画的な引継ぎをサポートし,職場全体で円滑な育休取得を支援しています. 男性職員の育休取得も積極的に進められており,誰もが家庭と仕事を両立しやすい環境づくりが進んでいます