内外エンジニアリング株式会社
インタビュー
2025/12/8
- 日時:2025年10月2日(木)15:00~
- 場所:内外エンジニアリング株式会社
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- 井上 丈嗣(いのうえ たけし)
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卒業年:平成25年修
勤続年数:13年
勤務先:内外エンジニアリング株式会社 技術2部
担当業務:一般土木(河川堤防・水路・護岸などの水に関連する構造物)を担当
以前は一般土木(地盤の解析・橋梁の補修設計)を6年間ほど担当
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- 松下 航(まつした わたる)
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卒業年:平成25年度修
勤続年数:13年
勤務先:内外エンジニアリング株式会社 技術2部
担当業務:一般土木(上下水道分野(主に水道設計))を担当
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- 井端 洸(いばた たけし)
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卒業年:平成28年度修
勤続年数:10年
担当業務:農業土木(農業水利施設の機能診断,近年はパイプライン診断等)を担当
大学での学び/仕事と接点について


勉強面で,特にどの学習(科目等)が今の仕事に役に立っていますか?
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井上さん
- 三力(構造力学・土質力学・水理学)です.上司からも三力が重要であるといわれます.農業土木だけではなく一般土木でも重要です.そのほかでは測量も重要です.
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松下さん
- 三力(構造力学・土質力学・水理学)です.農業土木と一般土木では行っていることは一緒なのでどちらに進んでも重要です.それに加えて測量も重要です.他部署に指示を出すときにも必要になります.
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井端さん
- 三力と測量です.専門用語を覚えているだけでも,業務で必要となり復習したいときに,思い出すことができます.講義を受けていたときにもう少し頭に残るように勉強すればよかったなと思います.測量は自分で行うことはほとんどありませんが,測量を行う人に指示をするときなどに,知識がないと困ることがありました.

測量の業務では具体的にどのような指示を出しているのですか?
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松下さん
- 設計を行う際に,測量図が作成されていないときに測量の業務が行われます.測量を行う範囲,基準点の場所,どのような作業をこの場所で行ってほしい等を指示します.測量を行う人とコミュニケーションをとるときに測量の知識が重要となります.

就活生にアドバイスするなら,就職先を決める際にどのような情報を見て,何を基準に判断したらよいと思いますか?
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井上さん
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一つは,自分の知識が生かせるかどうかで判断しました.私は工業高校出身で,高校時代から土木の知識を学んでおり,推薦で愛媛大学に入学したため,その知識を生かしたいと考えました.
もう一つは,自分がどの地域で働きたいかで判断しました.就職を機に地元を出たいと思ったときに関西がおもしろそうだと思いました.京都っておしゃれじゃん!というフィーリングもありました.
福利厚生はどの会社も横並びだと思います.最近はどの会社も引き上げてきている印象です.
公務員になって地元に貢献したいのか,コンサルとして自分で設計したいのか,ゼネコンで現場に出て造りたいのか,自分のやりたいことを基準に決めるといいと思います.
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松下さん
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福利厚生はどこもあまり変わらないと思います.職種も大事ですが,職場も大事な要素だと思います.インターンシップや会社訪問(1dayインターンでもいいと思います)で職場の雰囲気を肌で感じることが重要です.職場の雰囲気は,ネットや就活サイトなどで判断するのは難しいので,実際に職場を見ることが大事だと思います.
私はインターンシップからの縁で内外エンジニアリングの採用試験を受けました.インターンシップ先は,実家から通えるところという観点から,内外エンジニアリングと農林水産省に行くことにしました.就職活動の際には,公務員やゼネコンよりもコンサルタントのほうが自分に合っていると思い,内外エンジニアリングを選びました.
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井端さん
- 会社の雰囲気が合っていると感じて選びました.学生時代にリクルートで大学に来られた内外エンジニアリングの社長と話す機会があり,お話を聞く中で正直に仕事の楽しさや大変さを包み隠さず話してもらえたことが好印象でした.
仕事内容・やりがいについて


コンサルタント会社とは,どのような仕事をするのですか?また,公務員や建設会社の仕事とはどのような違いがありますか?
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井上さん
- 公務員は地域の要望をまとめて計画を立案する,コンサルはその要望を形にしたり,図面に起こしたり3D化するなどして見える化する,ゼネコンは実際に構造物を造るという違いがあります.
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松下さん
- 公務員はコンサルに対して専門知識を要する作業を依頼します.コンサルは設計に特化しています.ゼネコンはコンサルの設計成果を現場で具現化します.
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井端さん
- 私はコンサルタントの仕事として近年は機能診断の業務を担当しています.この業務では現場に出ることが多いです.農業水利施設は,新しく作るのではなく,今ある施設を長く使うという視点で維持管理されることがほとんどです.施設の現状がまだ使える状態か,一部を直せば使える状態か,限界だから更新しなければならないのかを現場で診断します.結果をもとに発注者に今後の管理方法を提案します.

これまでに携わった具体的な仕事や業務について教えてください
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井上さん
- 川のそばには堤防があることがほとんどですが,一部の地域では堤防がなく,大雨が降ると浸水してしまう場所がまだ残っています.そのような地域に堤防を造るための計画業務などを担当しています.基準や法律を守りながら,最低限の費用で安全性を確保したり,地元や発注者からの要望を聞いたりして計画を進めています.安全性の観点では,液状化や円弧滑りなどが発生しないかを解析します.測量から始めて,最終的には図面を描いたり解析ソフトを使用して安全性を確認したりして,複数の計画案を発注者に提案したりします.内外エンジニアリングには河川チームがあり,チーム全員で分担して作業を行います.橋梁が近くにあり影響が出そうなときは,社内の橋梁チームに聞きに行ったり,上下水などの管が近くにあれば上下水道チームに聞きに行ったりするなど社内で連携しながら仕事をしています.一人では到底できることではないので,他チームとの協力が大切です.
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松下さん
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上下水道管は主に地中に埋設されており,そのほとんどが高度経済成長期に整備されたものです.それから50~60年が経過して古くなっています.古くなると埼玉県八潮市の道路陥没や和歌山県の六十谷水管橋の崩落などが起こる可能性があるので,古くなったものを新しくする必要があります.その際には耐震化も同時に行います.耐震化を行わないと,石川県能登市での地震のように水道が止まることがあるので,そうならないように水道管の更新を行っています.
設計は図面上のものであるため,現場に赴きその設計が実現可能かどうかを確認します.確信をもって発注者に提案するのがコンサルの仕事だと思っています.
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井端さん
- 農業水利施設の機能診断は種類が多岐にわたります.一連の用水路でも開水路から始まり,途中はパイプラインになっているなど別々の構造を組み合わせて構成されている施設もあります.現場での調査では,人が中に入れる施設ではひび割れのスケッチや,コンクリートの強度を測る簡易的な試験等を行います.一方で,人が中に入れない施設は,自走式のカメラを使用して映像を見ながら施設の状態を確認していきます.今後どのように補修,補強していくのかや対策の時期を検討し,最適な施設の保全計画を提案します.

1日の大まかな業務の流れは?
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井上さん
- 9時始業で,8:30くらいに出社して,メールチェック,前日にまとめていた仕事の進捗を見て1日の仕事の優先順位決めます.9時から上司に相談,後輩に指示出しなど社員とコミュニケーションをとります.発注者への連絡,会議があるときもあります.
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松下さん
- 9時に前日にまとめていた仕事の進捗を見て,1日の目標を決めます.私は,午前中は一人で集中する作業を行います.午後は上司に相談に乗ってもらう時間をとります.具体的な業務内容としては,図面作成,数量計算,構造計算,報告資料の作成,現場に行った日は現場踏査のまとめを作成します.毎日同じことをしているわけではなく,さまざまな作業を行います.
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井端さん
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9時始業です.メールチェック,その日の目標を決めます.定時は17時ですが,私はあまり17時に帰ることは少なく,だいたい19~20時に帰ることが多いです.時期によりますが定時に帰る日もあります.
現場に行くときは,9時から危険予知活動,発注者や会社へ現場の開始報告をして作業を開始します.暗くなる前に作業が終わるようにテキパキと作業します.

どのように1日の作業内容を決めているのですか?
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井上さん
- 複数の仕事を同時進行しているので,自分の中でおおまかにパズルのように計画して,期限に間に合うように仕事をしています.最初のうちは上司が進捗を考えてサポートしてくれますが,ある程度キャリアを積んで一人でできると判断されたら,自分で決めるようになります.打ち合わせなどをチェックポイントとして,長期目標と短期目標を考えて仕事を進めています.

実際に職場で働いて,ここが良かった,ここが自分に合っていたと感じるところを教えてください(どのような人がコンサルタント会社に向いていますか)?
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井上さん
- 大学で培ったことを生かせます.また風通しがよく,良い上下関係で,フレンドリーで居心地が良いです.楽しくやれたほうがいいですが,けじめをつけるところはしっかりしています.メリハリがついていて良いです.
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松下さん
- コンサルに向いている人は,自分の考えを言語化ができる人です.頭の中で思い描いていることを,報告書や打合せ資料などに文章にできないと発注者に対して説明できないからです.プレゼン能力が必要だと思います.
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井端さん
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設計したものが形になった時にやりがいを感じます.地図に残る仕事なので,自分が携わった業務の工事の進捗をGoogle mapから確認できることもあります.
コンサルに向いている人は,「どうして?」,「なぜ?」を勉強できる人だと思います.設計や診断を行う際には基準に準拠して行う必要があります.どうしてその基準値なのかなどを疑問に思い勉強することが大事だと思います.

社内の技術士の取得状況が分かれば教えてください
技術士:117人(重複あり)
RCCM:50人

保有資格と取得したときの勤続年数を教えてください
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井上さん
- 一級土木施工管理技士,RCCM(河川)9年目,RCCM(土基礎)10年目,ほかに河川点検士,道路橋点検士
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松下さん
- RCCM(下水道)8年目,技術士(上下水道部門)11年目
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井端さん
- 畑地かんがい技士4-5年目

資格取得までどのように勉強をしましたか,取得するまでのプロセスを教えてください
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井上さん
松下さん
- 技術士試験に関しては,会社のバックアップがあり,技術士を持っている上司が,希望者のみを対象として月に1回の頻度で勉強会を開催してくれます.また,論文添削もしてもらうことができます.さらに,休日には模擬試験を開催してくれます.

資格を取得して良かったと思うことや資格の重要性を感じる場面を教えてください
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松下さん
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技術士以外の資格もたくさんあります.
管理技術者,照査技術者などの重要ポストには技術士やRCCMしかなれないため,キャリアを考えるなら技術士は取っておいたほうがいいです.
業務に携わっていたら,この資格取ってみてと指示が出ることもあります.
キャリアパス/展望


さらに身につけたいスキルや資格はありますか?
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井上さん
- 民間企業であるため,会社の存続のためにはお金を稼ぐ,儲けるという視点も必要です.そのようなスキルを得たいです.
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松下さん
- 技術士(総合技術管理)
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井端さん
- 農業水利施設機能総合診断士,コンクリート診断士

この先,どのようなキャリア(人生設計等)を描いていますか?
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井上さん
松下さん
- この先はプレイヤーからマネージャーになっていく立場であるため,会社を存続させる視点を持っていきたいです.
最後に


高校生や大学生,就活生などに向けて,会社やこの仕事(農業土木職)の魅力をアピールしていただけますか?
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井上さん
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内外は民間から仕事を受けることもあります.幅広くやっている分苦労もありますが,いろいろな方と仲良くなれたりします.
社内に一般土木部門と農業土木部門があるので,社内で連携が取れる点がアピールポイントと思います.聞きたいことをすぐに専門部門に聞きに行けます.
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松下さん
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現在,農業土木を学んでいるから農業土木に絞るのではなく,職場や,やりたいことを少しでも考えながら過ごすのが大事だと思います.
卒論や修論を通して研究したことが100%社会で生かせる人は少数だと思いますが,私は自分で考える力が身につきました.能動的に仕事をしたり,自身で仕事を進めていったりするときに,研究活動で様々なことを考えてきた経験が活きました.学生のうちから習慣的にやっておいたほうが良いと思います.
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井端さん
- 働き方改革や残業時間の規制など働き方が変わってきています.仕事だけでなくプライベートも充実させることができます.

