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INTERVIEW

株式会社エイト日本技術開発
インタビュー

2026/1/20

建設コンサルタント
  • 日時:2025年12月15日(月)14:00~
  • 場所:株式会社エイト日本技術開発 中国支社
PROFILE
  • 矢野 聡恵(たぶち かんと)
    田淵 完斗(たぶち かんと)
    卒業年:令和4年卒
    勤続年数:3年
    勤務先:株式会社エイト日本技術開発 中国支社
    担当業務:1年目~3年目は農業土木を担当,4年目~河川設計を担当
ARTICLE
大学での学び/仕事と接点について

勉強面で,特にどの科目が今の仕事に役に立っていると思いますか?

田淵さん

田淵さん

大学で習った内容は,基本的にどの知識も使っています.その中で特に挙げるとすれば,三力さんりき(土質力学,水理学,構造力学)です.計算の際や計画を立てる上で,三力は非常に重要です.

業務の中で三力を具体的に使う場面はどのような場面ですか?

田淵さん

田淵さん

例えば,水路を計画する際には,水理学を使って,決められた流量に対して流速や水深が条件を満たすかを計算する必要があります.
それに加えて,街中でよく見かける擁壁(斜面の土砂が崩れ落ちるのを防ぐための壁)を設計する際には,土質力学や構造力学を使うこともあります.

就活生にアドバイスするなら,就職先を決める際にどのような情報を見て,何を基準に判断するとよいと思われますか?

田淵さん

田淵さん

私は会社の雰囲気を重視しました.これはインターンシップに行かないと分からない部分ですが,職場が和気あいあいとしているのか,一人で黙々と仕事をする雰囲気なのか,自分の性格に合うかどうかは重要な要素だと思います.

次に事業内容です.例えば,農業土木のため池に携わりたいという強い希望があるなら,その分野に力を入れている会社でないと,実際には関われないこともあります.自分のやりたいことと,会社が重視している分野が合っているかは大切です.

最後に,勤務地です.最近子どもが生まれたので,ライフプランを考えると,子どもが生まれて家を建てたいという話も出てきます.会社によっては,希望する地域に拠点がなく,働けないということもあります.将来設計と照らし合わせて会社を決めることも,長い目で見れば重要だと思います.

また,入社前と入社後で,残業時間に対するイメージが変わりました.残業というと,やらされるものというイメージが強いと思いますが,実際には,ここまでやりたいから今日は残る,というような自主的な残業が多い印象です.もちろん少ないに越したことはありませんが,見方を変えてほしい点です.

雰囲気が大事ということですが,貴社の雰囲気について教えてください

田淵さん

田淵さん

縦横ともにコミュニケーションが取りやすく,風通しの良い職場だと感じています.

例えば現在,愛媛県の河川堤防耐震性能照査業務を中国支社(岡山県),松江支店(島根県),四国支社(愛媛県)の三拠点で連携して進めていますが,拠点をまたいで,「今日ウェブ会議をやりましょう」と声がかかり,すぐに会議が開催されることもあります.
また,私の在籍する中国支社内でも活発にコミュニケーションが取られていて,困ったときには,社内にいるさまざまな分野の技術者からすぐに教えてもらえる環境も整っています.
上司とも話しやすく,雑談の延長で業務の相談をしたり,プライベートでも,結婚の際に相談することもありました.

貴社へ入社された決め手について教えてください

田淵さん

田淵さん

インターンシップを通して,社員の方の働く姿勢や,設計の奥深さを感じたことがきっかけです.

大学の制度で約2週間インターンシップへ行き,当時は河川,道路,都市など,すべての部署で実習しました.その時々でいろいろな方にお世話になりましたが,特に印象に残っているのは,松山で建設が進んでいる外環状道路です.実際にその事業には当社も関わっており,現場で説明を受けながら,直接設計を担当した方々から意図を聞いたり,私から質問をしたりしました.その際に,質問に対してテキパキと返答が返ってきたことがとても印象的で,自分もこうしたさまざまな意図を含んだ設計ができるようになりたいと強く思いました.
また,会社の雰囲気も私に合っていると思い入社を決めました.インターンシップ時には,学生の私に対しても丁寧に接してくださり,社内でも活発に会話が行われている様子を見て,ここなら安心して働けそうだと感じて,当社への就職を決めました.

また,当社は農業土木に限らず幅広い分野で高い技術力を持っており,どの分野に配属されても,大規模な仕事にも携わることができると感じた点も理由です.
仕事内容・やりがいについて

コンサルタント会社とは,どのような仕事をするのですか?また,公務員や建設会社の仕事との違いを教えてください

田淵さん

田淵さん

まず公務員について説明します.公務員の仕事は,地元住民の要望を計画に落とし込み,事業全体をマネジメントして進めていくことです.国,県,市町村に分かれており,市町村は地元住民の要望を直接受け取り,市単独で事業を行うこともあれば,県や国に補助を申請して進める場合もあります.

一方でコンサルタントは,その要望をより具体的な形に落とし込む役割です.各種計画や調査をはじめとして,計算をしたり図面を作成したりして,実際に事業として成立する形にしていきます.そのため,制度理解や補助金制度,構造計算や安定計算,土質条件の評価など,非常に幅広く,かつ細かい知識が求められます.

ゼネコンは,コンサルタントが作成した図面をもとに,実際に現場で施工する仕事です.図面を基に施工する技術力だけでなく,設計段階では想定されていなかった問題が発生することもあり,そのような事象への対応力が求められる仕事でもあると思います.

これまでに携わった具体的な業務について教えてください

田淵さん

田淵さん

農業土木分野では,ため池,用排水路,樋門ひもん,用排水機場,ビニールハウス関連施設など,農業水利施設に関わる幅広い業務を行っています.

私が最も多く携わったのは,ため池廃止の業務です.これは農林水産省が全国的に進めている取り組みです.農家の減少により,使われていないため池が増えています.水が溜まる状態のため池を放置すると,豪雨や地震で堤体が決壊し,下流に大きな被害を及ぼす恐れがあります.そのため,このようなため池は水が溜まらない構造に改造する必要があります.
多くの場合,堤体の一部にV字の切り込みを入れ,ため池に流入してきた水が下流の水路に流れるよう工事を行います.その工事に必要となる設計図面などを作成しました.

ため池廃止について,設計や費用計算など,具体的にはどのように進めるのでしょうか?

田淵さん

田淵さん

業務内容は,図面作成だけではなく,最終成果は報告書になります.
業務によりますが,この報告書を1年弱かけて完成させていきます.
最近は電子データの普及も進んでおり,紙媒体と電子データの両方を納品することが多いです.

報告書作成までの流れを細かく説明します.
まず準備作業から始まります.準備作業の中心は現地調査です.現地に行かなければ状況は分からないため,現場の状況や施工時の条件を確認します.例えば,電柱があった場合,それが移設不可能なものか,補償費を支払えば移設できるものかを確認します.常に周辺状況を把握し,適切に判断することが重要です.

次に関連する資料の収集を行います.ため池の場合,基本的に,1つのため池につき,ため池台帳というデータベースが作成されています.それらのデータの確認に加えて,過去に災害がなかったか,当時の設計図面が残っていないかなどを確認します.膨大な過去データを整理する必要がありますが,非常に重要な作業です.

次に設計洪水流量(ため池に流入する流量)の算定です.まず,ため池に流れ込む水の面積(集水面積)を算定します.算定した集水面積を基に,雨の強さを表す式(降雨強度式)と雨が降ってからため池に流れ込むまでの時間(洪水到達時間)を求めて,設計洪水流量を算定します.
設計洪水流量は,ため池設計において非常に重要な値で,この値から多くの施設条件が決まります.

次に基本条件の検討を行います.V字に切る場合の勾配や幅,設置する水路の最小規格などを検討します.これは設計の骨格部分であり,農林水産省や国土交通省の各種基準を参照しながら決定していきます.

続いて概略検討を行います.これは基本条件の検討と並行して進めることが多く,V字に切る位置は妥当か,そもそも埋め戻しで対応できないかなど,複数案を検討します.それぞれのメリット・デメリットを整理し,発注者と協議して方針を決定します.非常に重要な協議です.

方針が決まれば詳細検討に進み,構造物の具体的な寸法を決めていきます.水路や桝構造について,構造計算や安定計算を行い,安全性を確認します.その後,施工計画として,工事の手順や必要な仮設を検討します.施工計画は特に難しく,若手のうちは机上の検討になりがちですが,現場をイメージできるかどうかが重要になります.私自身も,経験を重ねてようやく少しずつ分かるようになってきました.

その後,設計図面を作成し,数量計算を行います.コンクリート量や型枠量など,すべて細かく算定します.最後に積算を行い,工事費を算出します.すべて完了すると納品となり発注者の検査を受けます.

業務自体はここで一旦終了しますが,後年の工事段階で設計時に想定していなかった問題が生じた場合には,発注者と協力して対応することもあります.

以上が,ため池廃止業務の詳細な流れです.

施工計画で工事日数を検討するときは,複数人で相談しながら決めるのですか?

田淵さん

田淵さん

基本的には基準があります.例えば,建設機械で一日に掘削できる土量や,人力で施工できるコンクリート量などが定められています.基準がない場合は,上司に相談し,施工会社やメーカーに聞き取りを行い,その情報を根拠に算定します.
インタビュアー

インタビュアー

現場のイメージが重要になる場面ですね.
田淵さん

田淵さん

そうですね.現場でどのような作業が発生するのかを想像することが重要です.最初のうちはなかなかイメージできませんが,現場を見たり,上司から教わったりすることで身についてきます.
インタビュアー

インタビュアー

これらの業務はすべて1人で行うのですか?
田淵さん

田淵さん

すべての業務は必ずチームで行います.私の場合は三人一組でした.管理技術者の下に担当者がつき,私は一番若手として主担当を務めました.分からない点は中堅や管理技術者に相談しながら進めます.また,工程管理上の理由などで作業の一部を外部の協力会社に依頼することもあります.

河川設計の具体的な業務内容についても教えてください

田淵さん

田淵さん

現在取り組んでいるのは,河川堤防の耐震性能照査業務です.地震発生時に堤防が液状化でどのくらい沈下するか,その後の津波や洪水により氾濫が起きないかを検討します.業務は段階的に進められ,概略的な点検から,土質情報を考慮した詳細な点検へと進み,さらに対策が必要となる堤防は数値解析シミュレーション等を使用して耐震対策工法を設計します.私自身は現在,その点検から対策工法の検討まで一貫して業務を担当しており,分からないことを上司に相談しながら,一つずつ理解を深めています.

また,樋門の設計も経験しました.樋門は農業用水や河川の水をコントロールするゲートで,鉄筋コンクリート構造物です.長く使われてきた樋門は劣化のため,更新や維持管理が必要なものが増えています.現地調査を行い,構造形式を見直し,操作性や安全性を高める設計を行いました.施工方法についても検討し,現場条件を踏まえた計画を図面にまとめました.

現在の一日の仕事の流れを教えてください

田淵さん

田淵さん

定時は9時から17時です.日によって異なりますが,私は少し早めに出社し,始業後はまずメールを確認します.仕事はメールや社内のコミュニケーションツールで指示されることも多いため,これらのチェックは非常に重要です.午前中は自分の作業を進め,行き詰まったら早めに上司へ相談します.12時から13時は昼休憩です.同期と近くのお店に行ったり,自身のデスクで昼食をとったりします.午後は発注者との連絡,調整や打ち合わせ,作業を行います.私のいる部署では,週に一度,工程会議をWEBで行っています.大体,7人くらいで行い,業務進捗の報告や技術共有をします.終業時刻になると,通常は夕方には退社しますが,繁忙期には帰宅が遅くなることもあります.

職場で働いていて良かったところや,自分に合っていると感じるところ,会社の魅力について教えてください

田淵さん

田淵さん

私が入社してからの数年で,働き方改革がかなり進みました.例えば,週に2回の在宅勤務が認められています.私自身,まさに今育児をしている時期なので,在宅勤務を活用する日は通勤時間がなく,その分育児に時間を使えますし,定時後すぐに育児に戻れるなど,柔軟な働き方ができています.これは会社の大きな魅力だと感じています.

また,当社は西日本にも強みがあります.会社の成り立ちとして,東京の会社と岡山の会社が統合してできているため,岡山にも東京にも本社機能があります.西日本に本社機能を持つ建設コンサルタント会社はそれほど多くありません.私は広島県尾道市出身で,西日本に住み続けたいという思いがあるため,西日本に強い当社は非常に働きやすいと感じています.当社は各地方都市に支社があり,東北,関東,中部,関西,中国,四国,九州と幅広く展開しています.そのため,自分の住みたい地域を選びやすい環境だと思います.

どのような人がコンサルタント会社に向いていると思いますか?

田淵さん

田淵さん

いろいろ考えながら,何かを作り上げることが好きな人が向いていると思います.現場で直接ものを作る仕事ではありませんが,時間をかけてまとめた成果が報告書となり,それをもとに現場が動き,地域の方々の役に立ちます.
自分の考えを一つの成果物にまとめることにやりがいを感じられる人が,向いているのではないでしょうか.

技術士の取得は目指されていますか?

田淵さん

田淵さん

技術士は実務経験が必要な資格で,来年から技術士試験を受験できるため,現在勉強を進めています.
技術士がなければ管理技術者になれないのですが,将来的には責任ある立場で仕事を進めたいと考えているため取得を目指しています.担当している業務に関係のある建設部門や農業部門で複数の技術士資格を取得したいと考えています.

資格取得に向けて現在はどのような勉強をされていますか?

田淵さん

田淵さん

国土交通白書や農業白書を読んでいます.これらは技術士試験の出題にも深く関係しています.

資格の重要性について,どのように考えておられますか?

田淵さん

田淵さん

資格は,自分の知識の幅を広げるためだけではなく,社会から求められる知識や能力を証明するものなので,自分のキャリアを形成する上で非常に大切だと思います.例えば,入社一年目の頃に,電気系の資格の勉強をしました.用排水機場に行くと,操作盤など電気設備を見ることが多くあります.勉強したことで,現場で聞いたことのある単語が分かるようになります.そうした意味で,幹となる知識だけでなく,枝葉の部分も含めて,少しでも学んでおくと,技術者として幅広く成長できると思います.
キャリアパス/展望

今後,身につけたいスキルや資格はありますでしょうか

田淵さん

田淵さん

技術士以外の資格で言えば,RCCMがあります.これは業務を受注する上で技術士に次いで重要な資格で,一定年数の実務経験が必要になります.受験資格を満たす時期になったら,挑戦したいと考えています. スキルについては,仕事に関わることは何でもできるようになりたいです.日々の業務の積み重ねそのものが,スキルになっていくと思っています.

今後の人生設計について,仕事や家庭も含めて教えてください

田淵さん

田淵さん

現在は下積みの時期で,さまざまな経験を積んでいます.将来的に,自分で仕事を引っ張ることができるようになったら,松山に戻りたいと考えています.私の地元は尾道ですが,妻は福岡出身で松山育ちという背景もあり,最終的には松山に戻り,インフラ整備に携わりながら生活していきたいです.

高校生に伝えておきたいこと,農業土木職や会社についてアピールしたいことなどお聞かせください

田淵さん

田淵さん

建設業界は厳しいイメージを持たれがちですが,近年は働き方改革が進んでいます.当社でも,長時間労働の抑制や柔軟な働き方が実現されています. また,事業分野が非常に幅広く,多様な選択肢の中でキャリアを築くことができます.ぜひ前向きに検討していただければと思います.
インタビュアー

インタビュアー

最後に,ご同席いただいた広報担当者様にも貴社の魅力についてお聞きしてもよいでしょうか.
広報担当者

広報担当者

私たちは業界としては建設コンサルタントであり,さらに私たちは「インフラソリューションコンサルタント」だと称しています.インフラに対するソリューション,つまり解決策を提供するコンサルタントが私たちです.それが当社のコンセプトです.

インフラという言葉は略語で,正式にはインフラストラクチャーと言います.語源は「下支えをする」という意味を持っています.私たちは人々の日常生活を下から支える仕事をしています.それを少しずつ良くしていくのが私たちの役割です.

仕事の成果は目に見えにくいですが,例えば自分が設計した橋を見たとき,施工したのはゼネコンかもしれませんが,計画から調査を行い,各種計算や検討を重ねて図面にする,これらの過程で様々な技術的な工夫を盛り込んだのは自分たちだという誇りを持っています.インフラの施工は行いませんが,私たち建設コンサルタントがいなければインフラは作ることも維持管理も出来ません.こういった形で社会に貢献しているということを理解してもらえれば幸いです.