私たちの研究


生態の部屋では,森林生態学的視点に立った,森林の生物課程の解明と,その応用としての生態系の修復,再生,創造技術の開発を研究しています。

現在の中心的なテーマは,

1.モミ・ツガ林の生態学的研究
2.マレーシア・サラワク熱帯林の生物課程解明と生態系修復
3.北ベトナム・マングローブ林の炭素蓄積過程解明
4.中国・内モンゴル自治区・毛烏素砂地緑化のための基盤研究

です。

1.モミ・ツガ林の生態学的研究
モミ・ツガ林は我が国の暖温帯山地域に分布する森林ですが,里山としてまた新たな森林資源開発の場として注目を集めています。私たちは,四国山地高縄山系のモミ・ツガ林に永久調査区を設置し20年にわたり林分動態を追跡しています。また,林分動態モデルの開発,侵入・消滅樹種の診断,樹木の開葉・落葉・伸張・肥大成長などの季節性,稚樹・幼樹の消長,埋土種子など森林の更新過程,落葉・落枝量,土壌の理化学性など森林立地,構成樹種の生態生理特性などを調査し,モミ・ツガ林を適切に維持管理するための研究をおこなっています。

2.マレーシア・サラワク熱帯林の生物課程解明と生態系修復
世界でもっとも豊かである熱帯林の減少は地球規模の環境問題として,人類の英知を集めて解決していかなければならない課題です。私たちはマレーシア・サラワク熱帯雨林内に50haの永久調査区,ツリータワー・ウォークウェイシステム,クレーンシステムを設置し,開葉・落葉・伸張・肥大成長などの季節性,光合成,蒸散などの生態生理などを調査し,熱帯雨林の謎を解明しています。また,その成果をもとに,あらたな造林方法を開発し,生態系修復をめざした大規模な試験造林を2ヶ所で実施しています。植裁された苗の生態生理を解明することにより,より適切な確実な造林方法を開発しつつあります。さらに,焼畑が生態系に与える影響を明らかにするために,4ヶ所で実験焼畑を実施し,焼畑がその後の植生回復にどのような影響を与えるかをしらべています。

3.北ベトナム・マングローブ林の炭素蓄積過程解明
マングローブ林は生産力が大きく,根圏環境が常に無酸素条件にあるため植物遺体の分解が遅く,多量の炭素を蓄積している可能性があります。マングローブ生態系の炭素蓄積を解明することにより,地球規模の炭素循環に果たす役割を明らかにすることを目的としています。マングローブ林は海岸沿いの人口密集地域に存在するため,破壊,劣化が進んでいます。マングローブ林の機能を正しく評価し,再生,修復することは緊急の課題です。私たちは,北ベトナム,ホン川河口部に調査区を設置し,林齢,樹種,潮汐頻度などがマングローブ林の炭素蓄積に与える影響をしらべています。

4.中国・内モンゴル自治区・毛烏素砂地緑化のための基盤研究
毛烏素砂地はかつて草原だったのですが,粗放な農業,過放牧のため砂漠化が進み,流動砂丘となって,中国の主要部に押し寄せて来ています。また,強い季節風に飛ばされた砂は遠く日本までも飛来します。毛烏素砂地をもとの状態にもどすためには,かつて生育していた在来種を用いて再緑化していかなければなりません。私たちは在来種の生態生理,更新などをしらべることにより,毛烏素砂地を1000年前の状態にもどすための研究をおこなっています。

その他生態の部屋では,

5.タイ東部における持続的森林管理−人工生態系による生態系修復
6.マレーシア・ランカウイ島の森林動態と消滅樹種の診断
7.マングローブ林根圏環境の生物課程(沖縄,タイ,インドネシア,ベトナム,オーストラリア,ケニア,マダガスカル)
8.落葉広葉樹林の生態学的研究(岐阜県)
9.ヒバ林,ブナ林における択伐跡地の林分動態(下北半島)
10.北西アメリカ,多雨林における樹木の生態生理

にも着手しています。