研究室だより vol.2




 オープン・キャンパス見聞録   2004年8月


(大隈) 8月はじめに「オープン・キャンパス」がありました。来年入学を希望する人に、コースの現場を見てもらって、どんな雰囲気なのか理解してもらうわけです。今年は胡先生と私が別々の日に担当したのですが、先生はどんな話をしましたか。

(胡) 時間がオーバーするほど色々と話しましたけど、言われて思うと2つあります。1つは、農学の中でなぜ農業経営経済学のような社会科学分野があるか、もう1つは、わが農業経営経済学分野において何を、どのように習得できるか、です。
 要するに、私達のような学問領域において夢とロマンがあること、自分を含めて多くの先生が情熱とロマンと責任感を持って教育や研究に無我夢中になっていることを若い高校生たちに語ったのです。いま振り返れてみれば、ちょっと恥ずかしくなるけれども高校生達を見て熱が入りますよ。

(大) なるほど、なるほど。夢、ロマン、責任感は、キーワードですね。先生の専門は農業経営経済学ですが、私の専門は大学・大学院では法律と行政学です。こういう分野については、学生諸君は余り夢とかロマンとかを感じないかもしれません。しかし、それはそうではない。どんな世界も、夢と責任感がなかったらおしまいですね。良い仕事をした人はみんな夢、ロマン、責任感を持っていたと思います。

(胡) そうであるべきですよね。農学の中で私達のような社会科学系分野を充分理解していない人もおられるし、まして「政策学コース」で、高校生には分りにくいコース名となっているでしょう。名前よりも、中味を素直に語ったつもりなんです。
 農と食が人類の永遠の課題ということと同様に、農業経営経済学分野は本当に夢とロマンに満ち溢れ、やってもやり切れないほどの課題と仕事があり、どれ1つを取っても責任感を持ってやらなければならないと思っています。理屈っぽくなってしまいましたが、大隈先生はどうしましたか。

(大) 私は、今年の政策学コースのキャッチフレーズを「書を持って、フィールドに出よう」というふうに勝手に決めました。そして、このキャッチフレーズの意味を学生に話したのです。これは、私が学生の頃人気のあった詩人兼歌人兼俳人兼劇作家のマルチタレント的奇人寺山修司(この頃また人気が出ているようですが)の「書を捨てよ、町へ出よう」という言葉をもじったものです。
 寺山は型破りの人でしたから、「本なんかにとらわれちゃダメだ、どんどん世間へ出ていけ」という意味で、こういう言葉を残したのですが、こちらは大学ですから、寺山式だけでは困るわけで、「書」も大事です。つまり理論が必要です。しかし、本だけ読んで外の世界を知らないのではやはりダメだから、フィールド、つまり本当に物事が起きている現場に行こう。農業のことを考えるなら農家が作物を作っているところ、また農業政策を考えるなら政策を考えている人がいるところ、つまり役所なんかに出掛けていって、話を聞いてこよう、ということです。
 フィールドで見たこと、聞いたことを持って帰ってきて、また「書」を読んで、それからまたフィールドに行こう。こういうことの繰り返しが大事なんだよ、そういうことをこのコースではやるんだよ、と話したわけです。

(胡) そうなんですか。「書を持って、フィールドに出よう」というキャッチフレーズは、僕が言っているロマンを表しているではありませんか。学問で、こういうロマンチックなところも大事なんですよね。最近では、何でも実学、直に役立つ人間を求める社会風潮があるようですが、僕はむしろ、今のような混迷する転換期こそ、何が大事で、何が根本なのかを落ち着いて考え、夢とロマンと責任感を持って取り組むことが大事だと考えております。「書を持って、フィールドに出よう」をわが研究室のモット−にしましょう(^^)


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