■ ウンシュウミカンにおける浮皮発生メカニズムの解明 |
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ウンシュウミカンなどのカンキツでは、果肉が成長を停止した後も果皮は成長を続けるので、秋季の高温湿潤などの原因によって果皮と果肉の成長のアンバランスが生じ、その結果として果皮だけが成長して果皮と果肉の間の組織(アルベド)に空隙が生じる浮き皮という生理障害(病気や害虫が原因ではない生育不良)が発生します。浮き皮が発生すると浮き皮部分の果皮が収穫や貯蔵,運搬などの際に損傷しやすく、損傷した個所から腐敗し始めるため、貯蔵性が悪くなります。また,食味も悪くなります。本研究室では、浮き皮しない品種の育成や浮き皮抑制技術の開発を目的として浮き皮発生のメカニズムに関する研究を行っています。 |
■ カンキツにおける省力化樹形の栽培管理技術に関する研究 |
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愛媛県のカンキツの多くは傾斜地で栽培されていますが、傾斜地での栽培は労働負荷が高く、さらに近年の農業従事者の高齢化も相まって栽培管理の省力化が求められています。近年注目されている省力技術の一つにドローンを用いた農薬散布の省力化がありますが、果樹は樹形が複雑で薬剤がかかりにくい部分が生じることから現状導入があまり進んでいません。この導入を妨げている樹形の複雑さを解消する方法の一つがドローン防除などの機械化に摘した樹形の利用であり、そういった樹形には双幹形やジョイント仕立てがあります。双幹形は2本主枝の仕立て方、ジョイント仕立ては主枝の先端を隣の樹に接ぎ、連続的に連結させた直線状の樹形を形成する仕立て方で、どちらも枝が平面上に並ぶため、樹形がシンプルで省力化や機械化へ適しています。そこで本研究ではカンキツにおける省力化樹形の栽培技術に関する研究を行っています。 |
■ カンキツのゲノム解析 |
愛媛県は現在カンキツ生産量日本1位ですが、将来的にもこれを維持していくためには消費者のニーズの変化に応じた新しい品種を育成することが重要です。しかし、優れた個体を選抜して新しい品種を作るには非常に多くの個体を結実するまで育成し、その後にそれら全ての食味などを調べる必要があるため、多くの時間と手間がかかります。食味や外観、健康にいい成分の多さなどの新しい品種に求められる性質はどのような遺伝子を持つかによって決まるため、もし持っている遺伝子を手掛かりに個体を選抜することができれば、結実まで待つ必要が無いため、新品種の育成効率が非常に高まります。そこで、私たちはカンキツの遺伝子についての研究を行っています。 |
愛媛大学農学部生物生産システム学コース 果樹学研究室 |