クライオ電子顕微鏡研修会@SPring-8

公益財団法人 高輝度光科学研究センター(JASRI)主催のクライオ電子顕微鏡研修会に、M2の平井さん、M1の福原くん、吉原くんの3名が参加しました。
研修会は、普段我々が利用する蓄積リング棟ではなく生物系特殊実験施設にて行われました。

クライオ電子顕微鏡は結晶構造とは異なり、溶液中でのタンパク質の様子を見ることができます。また結晶化を必要としないため、結晶になりにくいタンパク質の構造を明らかにできます。この利点を当研究室でも享受すべく参加しました。ノウハウがなく1からのスタートで不安でしたが測定時のイメージを掴むことはできました。以降何度も測定に赴き経験を積むことで、マスターできればと思います。

研修会は3日間の日程で、1日目に座学とクライオグリッド作製、2日目と3日目は測定のためのコンピューターの使い方を教えていただきました。
クライオグリッドは直径3 mmのため先が細いピンセットで扱います。その上グリッドは曲げてはいけないため 、神経を使う操作でした。これをVitrobotという機器にセットして、グリッド上の余分な水分を取りました。これを液化エタンで急速凍結し、諸々の操作を経て電顕にセットしました(講師の先生が行ってくださいました)。1つ1つのサンプルを測定する上での電顕の設定をし、画像を撮るところまでを行いました。

実験施設の看板で一枚(左)。議論しながらコンピュータの操作を行っている様子(右)。

 

今回用いた電子顕微鏡です(左)。高さは3mを超えていたと思います。右はVitrobotです。真ん中の小窓の中の白い部品に円盤状のろ紙をセットしておきます。小窓の中にグリッドを入れて、これをろ紙で挟み込むことで水分を吸います。上には画面があって小窓の中の温度・湿度を設定できます。

 

左の写真はグリッド上のカーボン膜を親水化処理するための機械です。左上の筒の中の圧力を変えることで処理条件を変化させられます。右の写真は、解析する(電子線をあてる)グリッドスクエアを決めているところです。電子線を当てたとしてもサンプルの分子量やグリッド上の氷の厚さ、凍結時のグリッドの扱い方によってタンパク質粒子が必ずしも見えるわけではありません。しかし比較的粒子が見えやすいグルコース脱水素酵素で測定した結果、これを見ることができました。さらに松山から持参したサンプルでも粒子を見ることができ、当研究室おけるクライオ電子顕微鏡を利用した構造決定に可能性を感じました。

 

SPring-8ではご飯も楽しみです。左は食堂のカレー大盛り430円(たぶん)です。カレーもしくはわかめうどん(並盛280円)がコスパがいいと思います。右はボルカノという近くにあるイタリアンレストランのアマトリチャーナです。SPring-8を訪れたときは毎回行っています。

 

SPring-8の広大な敷地に胸が高鳴る福原くんと、乗り換えで停まった岡山駅の桃太郎冬仕様(横顔)です。

 

結晶構造解析とクライオ電顕の二刀流で構造決定することで、インパクトのある研究成果を出せたらと思います。結晶構造解析もマスターしたわけではないですがある程度ノウハウが蓄積していると思います(思いたいです)。それでも結晶にならない(=「決勝」までいけず予選敗退)ようなタンパク質の構造決定はクライオ電顕で測定を行うことで、長年未知だけど意義のあるタンパク質構造を解明したいです。その暁には愛媛大学 生化学の名を轟かせたいものです。

お忙しいにも関わらず熱心にご指導下さいました二人の先生方にお礼申し上げます。