研究内容

酵素学について

酵素は生体触媒とも呼ばれ、ターゲットとなる化合物(基質)に対する選択性が極めて高く、無機触媒に比べてはるかに温和な条件で反応が進行し副産物も出さないため、バイオプロセスの主人公として物質生産・環境浄化等の幅広い分野で活用されています。
1950~60年代にかけて行われた酵素学の研究は、細胞の抽出液の中から新たな酵素活性を見出すといったものでした。しかし、当時発見されたものの中にも、いまだ遺伝子が同定されていないものが多数存在します。当研究室では、上記のような産業的応用も念頭に、新しい反応を触媒する未知の酵素(遺伝子)の発見と、その立体構造と機能の解明に取り組んでいます。

 

微生物の新規代謝経路の解明に関する研究

(1)細菌にみられる新しいL-アラビノース代謝経路に関する研究

L-アラビノースとは、木質系植物のヘミセルロース内に多く見られる五炭糖の一種です。大腸菌をはじめとするほとんどの細菌は、araA、araB、araDといった酵素によって代謝されます。ところが、ある種の細菌は、これとは全く異なるL- アラビノース代謝経路をもつことが判明したのです。この代謝経路の詳細は長らく明らかになっていなかったのですが、当研究室ではこの経路に含まれる全ての酵素とその遺伝子を同定することに成功しました。


(2)αKGSA脱水素酵素 (KGSADH) のアイソザイムに関する研究

KGSADHは、前述の、新規L-アラビノース代謝経路の最後のステップを触媒する酵素です。この酵素の活性は、ある種の糖酸またはL- ヒドロキシプロリンの存在下で発現が誘導される、ということが分かっていましたが、その詳細は未解明のままでした。当研究室では、前述のL-アラビノース誘導性KGSADH-Ⅰとは全く異なる酵素である、D-Glucarate/D-Galactarate誘導性KGSADH-Ⅱおよび、L-ヒドロキシプロリン誘導性KGSADH-Ⅲを新たに同定することに成功しました。




(3)微生物の新しいL-ラムノース代謝経路





(4)細菌に見られる新しいL-ヒドロキシプロリン代謝経路