雪がちらつく中、昨年に引き続き、愛媛県立宇和島東高校にて令和3年度愛媛大学農学部高大連携企画を実施しました。前回は新型コロナウイルスが猛威を振るっており参加者は15名程度でしたが、今回は約30名者生徒さんにご参加頂きました。補助で引率する学生も1名から3名に増員しました。
実験では、緑色蛍光タンパク質(GFP)の大腸菌への形質転換・精製・発現確認、卵白リゾチームの結晶化を行いました。
扱うタンパク質は違えど普段我々が行っているのと同じ実験操作を体験してもらい、大学での研究に対して興味を持ってもらえていたら嬉しいですね。
以下、講義・実験の様子をご紹介します。
まずは渡辺誠也先生による細胞やタンパク質、酵素についての講義、続いて実験操作の説明です(左)。
マイクロピペットを初めて使用する生徒さんもいて、うまく溶液を吸えずに苦戦している姿も見られました(右)。

形質転換した大腸菌をリゾチームと凍結融解で壊し、中からタンパク質を取り出しました。可視光下でもGFPが光っていたので、カラムの中で移動していくのを見ることができました。うまく精製できているかが確認しやすかったですね。左の写真はGFPをカラムから溶出しているところで、溶出液が黄色(緑色)なのが分かります。
GFPを得るには、形質転換した大腸菌を単に培養すればよいのではなく発現誘導をかけないといけません。誘導の有無による発光のちがいを寒天培地プレートで確認して、また発光の正体がDNAではないことも確認しました(右の写真)。

回収したタンパク質はしっかり光っていました(左)。この後熱変性や酸で処理して、タンパク質の失活を体験しました。続いて、ハンギングドロップ蒸気拡散法でのリゾチーム結晶化です(右)。この日のうちに結晶が現れることを期待しましたが、間に合わなかったので事前に用意していた結晶を見てもらいました。

お昼休みにはM1の2人とB4の1人が大学での生活を紹介しました。この紹介が参考になったかどうかは分かりませんが、ぜひ大学での生活に希望を持ってもらい、受験勉強を頑張ってほしいです。そして愛媛大学でなくても、農学部でなくても、各々やりたいことを見つけられるといいですね。

質問タイムでは、「理系の研究室はしんどいと聞きますが本当ですか?」という質問もありました。高校生のうちから研究室分属後について考えるのは、明確な目標を持つうえで有意義だと思います。ところでこの噂は一体どこで聞いたのでしょうか(笑)。
また、「研究室分属をして実験ができるのはいつからですか?」という質問もありました。研究に対する意欲が高く、将来有望な学生さんもいました。楽しみですね。
生徒の皆さん、高校の先生方、ありがとうございました!