食料生産経営学コースに
興味のある方へ
- 大学院農学研究科(修士課程)社会人特別選抜
- 社会人特別選抜では、社会人特別コースを選択することで柔軟な指導を受けることができます。詳しくは 募集要項 をご確認ください。 なお、社会人の方で進学を希望される場合は、出願前に希望する教育研究分野の教員に必ずご相談ください。





農地は、食料の生産以外にも、土砂災害や洪水の防止、地下水の涵養、景観の形成など、地域固有の資源として様々な役割を果たしています。 一方で、農業従事者の減少・高齢化により、近年、耕作放棄地の増加が問題となっています。とくに、樹園地は傾斜地に立地しているケースが多いため、管理に手間がかかり、耕作放棄地の比率が高くなっています。 樹園地の荒廃化を防ぐためには、作業道の設置や緩傾斜化などの基盤整備を実施し、作業の省力化を図ることが有効と考えらえます。 私は、社会経済的な視点から、樹園地基盤整備の実施による、直接的間接的効果の分析に取り組んでいます。

わが国の場合、一般に、農家の経営する農地は、あちこちに分散しています。経営農地が1つの農場としてまとまっている欧米諸国とは、対照的です。 病害虫や自然災害のリスクが多かった時代には、農地の分散は、危険分散のメリットがありましたが、トラクターやコンバイン等の機会が普及するようになると、移動時間のロスや燃料費の増加など、デメリットの方が大きくなります。また、意欲的な農家が経営規模を拡大しようとすると、農地が分散してしまうというジレンマが生じています。 私は、農地の分散問題の克服に向けて、上で述べた基盤整備や農家間での土地利用調整を、どのような形で行うのがベストなのかを、研究しています。


地域の資源現状分析として、これまで分析の視座を「農業」、「食」、「労働力・農地」において研究に取り組んできました。愛媛県は農業の主軸は柑橘生産になります。持続可能な柑橘生産にあたっては収入に密接に関連する生産技術の向上だけでなく労働力や輸送手段の確保、また防災の観点を持った産地作りも重要です。近年ではスマート農業についても注目されており、これらの技術が産地の生産能力に及ぼす影響についても着目しています。それ以外にもその他の農産物や多様な食資源に係わる諸課題についても資源管理や利用の側面から消費者評価も含めて研究しています。


農業と福祉との関連性について近年では農福連携について注目されています。農福連携は障害者(福祉施設)側からすると就労の場の確保、農業経営者側からすると労働力の確保につながりうまくマッチングできれば互いがwin-winの関係となる大変効果的な取り組みであると考えられます。ここではその実態について当事者・生産・地域との関連等、複合的な視点から研究しています。「農業」は全ての国・地域で行われる産業であるため、海外、特に経済発展の過程にあるまだ社会福祉政策が整備し切れていない国を対象として農福連携による障害者の社会進出についても関心を持って研究に取り組んでいます。

農林水産業を含める食品産業による様々な事業活動は、私たちの食生活に新鮮な農林水産物、便利な加工食品、外食など、おいしいものを、手軽に入手できる環境を提供してくれます。また、消費者に提供される食品は安全であり、人間の健康を害するものであってはならないため、各事業者は日々様々な努力を重ねています。これは、国内産だけでなく海外とのネットワークの中で生産される食品においても同様です。フードシステムでは、食品産業全体を河の流れに例えて、川上は農林水産業、川中は食品卸売業、食品製造業、食品流通業、川下は食品小売業と外食、のように位置づけます。そして、川上から川下までの各産業が食の安全を確保しながら消費者の様々なニーズに対応した商品を安定的に提供する仕組みをどのように構築しているかを把握し、そこにある課題を考えていきます。


食品の生産過程で、衛生管理が不十分であったり、環境や地域に暮らす人々に様々な悪影響を与えてきたりしたことが広く認識されるようになっています。こうしたなか、食品の安全、環境との調和、人権への配慮、アニマルウェルフェアなど、食品には様々な要件が求められています。こうした要件を満たした食品を消費者まで届けるには、フードシステムに関わる全ての事業者が責任ある生産、流通・販売を行い、チェーンのようにつないでいく必要があります。つくる責任を果たすため、農林漁業者、食品関連事業者、NGO、政府などが様々な取組を行っています。私はこうした取組みがどのように浸透し、普及しているのかを明らかにする研究に取り組んでいます。


経済のグローバル化が進展する中で、食料の生産から消費にいたる過程で様々な問題が発生しています。こうした問題と政策との関連を明らかにし、食料生産・流通・消費の実態をふまえて農業・農村の振興を図るための方策を研究しています。特に、工業的な農業が進展する中で、食料生産から消費までの距離が長くなっており、食料の安全性低下といった問題が発生しています。また先進国においても貧困層が拡大しており、新鮮な食料を入手できない人たちが多くいます。これに対し、食料生産から消費に至るまでの距離を短縮し、誰もが健康的な食料を入手できるようにする取り組みが米国や日本でみられます。国内外の実態調査からローカルフードシステムを構築するための条件を解明します。


わが国では1960年代後半以降、米の過剰問題が発生しており、コメの需給均衡と価格の安定を目的に1970年代からずっと米の生産調整政策に取り組んでいます。しかし、2018年度にはこの生産調整が廃止されました。これにより、米の需要と供給の均衡や価格の安定が実現できるかが問われています。米の生産調整が廃止された後の主食用米の需給調整の実施体制や需給調整機能を分析するとともに、水田の利用状況や作目の変化を現地での実態調査から明らかにすることで、米の過剰問題と価格の安定を実現できるような諸条件を明らかにする研究に取り組んでいます。


本研究では、イチゴを対象に、体系的マーケティング手法を開発しました。
まず、①消費者の潜在的なニーズを具体化するため、女性パネラーによる官能調査を実施しBrix値11%の糖度基準を明らかにし、②松山市城管内で流通しているイチゴの中で糖度11%以上は、全体のわずか10%しかないことを明らかにしました。ついで、③高糖度イチゴの栽培技術として、寒じめ栽培技術を探索し、④実際に量販店や百貨店での販売実証試験の結果、小売価格480円/200gでは2日間で完売することを確認しました。最終的に、これら①~④の体系的マーケティング手法を農業者に技術移転した結果、JAおちいまばりでは、商標名「あま恋いちご」としてブランド確立し、農業者の所得向上に大きく貢献しています。
なお、これら研究の詳細は愛媛大学HP「最先端研究紹介infinity」に記載しています。


本研究は、全国に先駆けて通勤農業の概念や実態およびその効果を明らかにしました。
愛媛県の農村部にあるA柑橘産地では、親と同居しない通勤農業により、担い手が確保されています。彼らは妻子とともに松山市内に居住し、毎日30分程度をかけて通勤農業を行っています。 通勤農業をする理由は、①生活の利便性、②子供の教育環境、③親との同居ストレスがない、④配偶者(妻)の就業の維持などです。この通勤農業により、A柑橘産地では、農業者数と栽培面積の10%程度の減少抑制、1戸当たり100万円程度の所得向上効果が確認できます。
そのため、今後農業の担い手対策としては、通勤農業も視野に入れた行政支援が必要です。


農学では、動植物の営みを私たちの営みのために利用する仕事である、農業という職業にも着目します。日本の農業は代々継承される家業でしたが、最近の若い農業者は、職業選択の一環としてこの仕事をとらえています。そこでは、仕事そのものに加えて、仕事を通じた自己実現や社会との結びつきにも、働く意味を見出しています。また、地域で同じ作物を生産する農業者が集まった産地組織や、農業者とその家族が生活する地域社会は、農業者を励まし経営を後押ししますが、制約することもあります。私は、農業者が、自立した経営者としての自分と、産地組織や地域社会のなかでの自分とを、どのように統合させながら農業しているのかを研究しています。


日本では、農業者の減少・高齢化のなかで食料生産を維持するため、政策として、若い世代の農業の担い手を育成しています。そこでは、栽培技術の研修が受けられたり、収入が不安定な経営開始前後の生活費が給付されたりします。また、若い世代を引きつけることは、高齢化が進む農村地域にとっても重要であり、田畑の保全や、地域社会の結びつきの維持につながります。しかし、農業者は、担い手となり、地域社会で期待される役割を引き受けるためだけに、農業をしているわけではないはずです。私は、農業者がしたい農業と、そこで期待される農業とのズレをとらえ、農業者がそれをどのように解消し妥協しながら、農業しているのかを研究しています。

わが国の水産業は、後継者不足・高齢化、漁場環境や水産資源の悪化、輸入水産物の台頭など内憂外患ともいえる厳しい時代を迎えています。 その一方で、日本各地の水産の現場では、生き残りをかけたさまざまな取組みが見られるようになってきました。 生産現場と流通大手が連携し、鮮度の良い魚介類をより大量に、より迅速に消費地に届けられる仕組みを構築しています。生産現場は、商品価値を上げる努力を講じ、流通側はニーズを拾い上げ産地と一緒に売れる商品作りに取り組んでいるのです。 国内外の市場調査を通じて、流通・販売促進などの効果を、マーケティングの側面から分析し、地域漁業の活性化に貢献していきます。


愛媛県では、水産業の活性化に向けてあらゆる取組を実施しています。その一つに柑橘の香りがする「フルーツフィッシュ」の開発に成功し、飲食店と連携することで新たなマーケットを開拓しています。また愛媛大学と愛媛県が共同して「スマ」という新しい養殖魚の開発に成功し、これを国内外に大きく販売しようとしています。 国内市場では成功したフルーツフィッシュを海外に展開する際の流通戦略について検討しています。とくに北米マーケットは柑橘の香りに好感度が高く、売れ筋商品になるのは間違いないのですが、輸出入に関する制度や海外の流通システムの相違なども、検討していく必要があります。


多くの果物の需要が減少する中で、キウイフルーツは健康志向の高まりなどを背景に需要が拡大しています。しかし、国内の生産量は減少傾向にあり、ニュージーランドなど海外からの輸入が増加しています。こうした状況のもとで、国内生産を持続的に拡大するためには、優良品種のライセンス契約や、収穫後の選果・流通体制の整備など、さまざまな課題があります。そこで、日本におけるキウイフルーツ栽培発祥の地である愛媛県を中心に、地域の生産体制や取引慣行を分析するとともに、ブランド化に成功したニュージーランドの事例から学び、地域農業の持続的発展に向けた方策を探っています。


施設栽培トマトなどの受粉には花粉媒介昆虫が使用されています。ところが、これらの多くは外国から輸入された外来種であり、施設の外に逃亡した場合に日本国内の生態系に悪影響を及ぼすリスクがあります。このため、環境省と農林水産省はトマト生産者に対して在来種の花粉媒介昆虫への切り替えを促しています。しかしながら、在来種は外来種より働きが悪いと考えるトマト生産者にとって、この切り替えを行う強いインセンティブはありません。このとき、効率的な農業と生態系保全の両立のために何が必要でしょうか。例えば、店頭での農産物のラベルを通して消費者にこの問題を知ってもらうことが、トマト生産者の行動を変える鍵となるかもしれません。



農地は、食料の生産以外にも、土砂災害や洪水の防止、地下水の涵養、景観の形成など、地域固有の資源として様々な役割を果たしています。 一方で、農業従事者の減少・高齢化により、近年、耕作放棄地の増加が問題となっています。とくに、樹園地は傾斜地に立地しているケースが多いため、管理に手間がかかり、耕作放棄地の比率が高くなっています。 樹園地の荒廃化を防ぐためには、作業道の設置や緩傾斜化などの基盤整備を実施し、作業の省力化を図ることが有効と考えらえます。 私は、社会経済的な視点から、樹園地基盤整備の実施による、直接的間接的効果の分析に取り組んでいます。

わが国の場合、一般に、農家の経営する農地は、あちこちに分散しています。経営農地が1つの農場としてまとまっている欧米諸国とは、対照的です。 病害虫や自然災害のリスクが多かった時代には、農地の分散は、危険分散のメリットがありましたが、トラクターやコンバイン等の機会が普及するようになると、移動時間のロスや燃料費の増加など、デメリットの方が大きくなります。また、意欲的な農家が経営規模を拡大しようとすると、農地が分散してしまうというジレンマが生じています。 私は、農地の分散問題の克服に向けて、上で述べた基盤整備や農家間での土地利用調整を、どのような形で行うのがベストなのかを、研究しています。


地域の資源現状分析として、これまで分析の視座を「農業」、「食」、「労働力・農地」において研究に取り組んできました。愛媛県は農業の主軸は柑橘生産になります。持続可能な柑橘生産にあたっては収入に密接に関連する生産技術の向上だけでなく労働力や輸送手段の確保、また防災の観点を持った産地作りも重要です。近年ではスマート農業についても注目されており、これらの技術が産地の生産能力に及ぼす影響についても着目しています。それ以外にもその他の農産物や多様な食資源に係わる諸課題についても資源管理や利用の側面から消費者評価も含めて研究しています。


農業と福祉との関連性について近年では農福連携について注目されています。農福連携は障害者(福祉施設)側からすると就労の場の確保、農業経営者側からすると労働力の確保につながりうまくマッチングできれば互いがwin-winの関係となる大変効果的な取り組みであると考えられます。ここではその実態について当事者・生産・地域との関連等、複合的な視点から研究しています。「農業」は全ての国・地域で行われる産業であるため、海外、特に経済発展の過程にあるまだ社会福祉政策が整備し切れていない国を対象として農福連携による障害者の社会進出についても関心を持って研究に取り組んでいます。


本研究では、イチゴを対象に、体系的マーケティング手法を開発しました。
まず、①消費者の潜在的なニーズを具体化するため、女性パネラーによる官能調査を実施しBrix値11%の糖度基準を明らかにし、②松山市城管内で流通しているイチゴの中で糖度11%以上は、全体のわずか10%しかないことを明らかにしました。ついで、③高糖度イチゴの栽培技術として、寒じめ栽培技術を探索し、④実際に量販店や百貨店での販売実証試験の結果、小売価格480円/200gでは2日間で完売することを確認しました。最終的に、これら①~④の体系的マーケティング手法を農業者に技術移転した結果、JAおちいまばりでは、商標名「あま恋いちご」としてブランド確立し、農業者の所得向上に大きく貢献しています。
なお、これら研究の詳細は愛媛大学HP「最先端研究紹介infinity」に記載しています。


本研究は、全国に先駆けて通勤農業の概念や実態およびその効果を明らかにしました。
愛媛県の農村部にあるA柑橘産地では、親と同居しない通勤農業により、担い手が確保されています。彼らは妻子とともに松山市内に居住し、毎日30分程度をかけて通勤農業を行っています。 通勤農業をする理由は、①生活の利便性、②子供の教育環境、③親との同居ストレスがない、④配偶者(妻)の就業の維持などです。この通勤農業により、A柑橘産地では、農業者数と栽培面積の10%程度の減少抑制、1戸当たり100万円程度の所得向上効果が確認できます。
そのため、今後農業の担い手対策としては、通勤農業も視野に入れた行政支援が必要です。


農学では、動植物の営みを私たちの営みのために利用する仕事である、農業という職業にも着目します。日本の農業は代々継承される家業でしたが、最近の若い農業者は、職業選択の一環としてこの仕事をとらえています。そこでは、仕事そのものに加えて、仕事を通じた自己実現や社会との結びつきにも、働く意味を見出しています。また、地域で同じ作物を生産する農業者が集まった産地組織や、農業者とその家族が生活する地域社会は、農業者を励まし経営を後押ししますが、制約することもあります。私は、農業者が、自立した経営者としての自分と、産地組織や地域社会のなかでの自分とを、どのように統合させながら農業しているのかを研究しています。


日本では、農業者の減少・高齢化のなかで食料生産を維持するため、政策として、若い世代の農業の担い手を育成しています。そこでは、栽培技術の研修が受けられたり、収入が不安定な経営開始前後の生活費が給付されたりします。また、若い世代を引きつけることは、高齢化が進む農村地域にとっても重要であり、田畑の保全や、地域社会の結びつきの維持につながります。しかし、農業者は、担い手となり、地域社会で期待される役割を引き受けるためだけに、農業をしているわけではないはずです。私は、農業者がしたい農業と、そこで期待される農業とのズレをとらえ、農業者がそれをどのように解消し妥協しながら、農業しているのかを研究しています。

わが国の水産業は、後継者不足・高齢化、漁場環境や水産資源の悪化、輸入水産物の台頭など内憂外患ともいえる厳しい時代を迎えています。 その一方で、日本各地の水産の現場では、生き残りをかけたさまざまな取組みが見られるようになってきました。 生産現場と流通大手が連携し、鮮度の良い魚介類をより大量に、より迅速に消費地に届けられる仕組みを構築しています。生産現場は、商品価値を上げる努力を講じ、流通側はニーズを拾い上げ産地と一緒に売れる商品作りに取り組んでいるのです。 国内外の市場調査を通じて、流通・販売促進などの効果を、マーケティングの側面から分析し、地域漁業の活性化に貢献していきます。


愛媛県では、水産業の活性化に向けてあらゆる取組を実施しています。その一つに柑橘の香りがする「フルーツフィッシュ」の開発に成功し、飲食店と連携することで新たなマーケットを開拓しています。また愛媛大学と愛媛県が共同して「スマ」という新しい養殖魚の開発に成功し、これを国内外に大きく販売しようとしています。 国内市場では成功したフルーツフィッシュを海外に展開する際の流通戦略について検討しています。とくに北米マーケットは柑橘の香りに好感度が高く、売れ筋商品になるのは間違いないのですが、輸出入に関する制度や海外の流通システムの相違なども、検討していく必要があります。


経済のグローバル化が進展する中で、食料の生産から消費にいたる過程で様々な問題が発生しています。こうした問題と政策との関連を明らかにし、食料生産・流通・消費の実態をふまえて農業・農村の振興を図るための方策を研究しています。特に、工業的な農業が進展する中で、食料生産から消費までの距離が長くなっており、食料の安全性低下といった問題が発生しています。また先進国においても貧困層が拡大しており、新鮮な食料を入手できない人たちが多くいます。これに対し、食料生産から消費に至るまでの距離を短縮し、誰もが健康的な食料を入手できるようにする取り組みが米国や日本でみられます。国内外の実態調査からローカルフードシステムを構築するための条件を解明します。


わが国では1960年代後半以降、米の過剰問題が発生しており、コメの需給均衡と価格の安定を目的に1970年代からずっと米の生産調整政策に取り組んでいます。しかし、2018年度にはこの生産調整が廃止されました。これにより、米の需要と供給の均衡や価格の安定が実現できるかが問われています。米の生産調整が廃止された後の主食用米の需給調整の実施体制や需給調整機能を分析するとともに、水田の利用状況や作目の変化を現地での実態調査から明らかにすることで、米の過剰問題と価格の安定を実現できるような諸条件を明らかにする研究に取り組んでいます。

農林水産業を含める食品産業による様々な事業活動は、私たちの食生活に新鮮な農林水産物、便利な加工食品、外食など、おいしいものを、手軽に入手できる環境を提供してくれます。また、消費者に提供される食品は安全であり、人間の健康を害するものであってはならないため、各事業者は日々様々な努力を重ねています。これは、国内産だけでなく海外とのネットワークの中で生産される食品においても同様です。フードシステムでは、食品産業全体を河の流れに例えて、川上は農林水産業、川中は食品卸売業、食品製造業、食品流通業、川下は食品小売業と外食、のように位置づけます。そして、川上から川下までの各産業が食の安全を確保しながら消費者の様々なニーズに対応した商品を安定的に提供する仕組みをどのように構築しているかを把握し、そこにある課題を考えていきます。


食品の生産過程で、衛生管理が不十分であったり、環境や地域に暮らす人々に様々な悪影響を与えてきたりしたことが広く認識されるようになっています。こうしたなか、食品の安全、環境との調和、人権への配慮、アニマルウェルフェアなど、食品には様々な要件が求められています。こうした要件を満たした食品を消費者まで届けるには、フードシステムに関わる全ての事業者が責任ある生産、流通・販売を行い、チェーンのようにつないでいく必要があります。つくる責任を果たすため、農林漁業者、食品関連事業者、NGO、政府などが様々な取組を行っています。私はこうした取組みがどのように浸透し、普及しているのかを明らかにする研究に取り組んでいます。


多くの果物の需要が減少する中で、キウイフルーツは健康志向の高まりなどを背景に需要が拡大しています。しかし、国内の生産量は減少傾向にあり、ニュージーランドなど海外からの輸入が増加しています。こうした状況のもとで、国内生産を持続的に拡大するためには、優良品種のライセンス契約や、収穫後の選果・流通体制の整備など、さまざまな課題があります。そこで、日本におけるキウイフルーツ栽培発祥の地である愛媛県を中心に、地域の生産体制や取引慣行を分析するとともに、ブランド化に成功したニュージーランドの事例から学び、地域農業の持続的発展に向けた方策を探っています。


施設栽培トマトなどの受粉には花粉媒介昆虫が使用されています。ところが、これらの多くは外国から輸入された外来種であり、施設の外に逃亡した場合に日本国内の生態系に悪影響を及ぼすリスクがあります。このため、環境省と農林水産省はトマト生産者に対して在来種の花粉媒介昆虫への切り替えを促しています。しかしながら、在来種は外来種より働きが悪いと考えるトマト生産者にとって、この切り替えを行う強いインセンティブはありません。このとき、効率的な農業と生態系保全の両立のために何が必要でしょうか。例えば、店頭での農産物のラベルを通して消費者にこの問題を知ってもらうことが、トマト生産者の行動を変える鍵となるかもしれません。


食料生産経営学コース
カリキュラム
農地、水、及び動植物に由来する有機性資源(バイオマス)を地域資源としてとらえ、安全・安心な食料生産システムの構築に向けて、経済的・社会的にその機能を農地、水、及び動植物に由来する有機性資源(バイオマス)を地域資源としてとらえ、安全・安心な食料生産システムの構築に向けて、経済的・社会的にその機能を解明するとともに、合理的な利用のあり方について教育研究を行う。
水産業や漁業地域の持続可能な発展を目的として、水産業・漁村並びに水産物の生産・流通・消費について経済理論(経営論・管理論など)と実践(現地調査・地域連携など)にもとづきながら総合的に教育研究を行う。
農業政策の体系、枠組み、あり方を農業・農村の現状をふまえて検討し、農業・農村復興のために必要な農業政策・制度の立案ができる能力を育てる教育・研究を行う。
農林水産業から、食品製造業、食品卸売業、食品小売業、外食産業を経て、最終の消費者の食生活、廃棄に至る食料品供給の一連の流れをシステムとしてとらえ、それらをめぐる相互依存的な関係について、経済的、社会的、環境的側面から体系的に教育研究を行う。
地域農業活性化や農産物の国際的市場競争力強化に向けた持続可能な農業の構築に関して、経済学的視点から教育研究を行う。







