分子生物資源学研究室
研究室紹介
当研究室は平成13年4月に設立された新しい研究室です。研究室においては主に植物を用いた生物資源に関する種々の現象を分子生物学的に解析し、生物資源の理解と併せて新しい生物資源の開発にも役立てることを考えています。
具体的な研究内容としては現在のところ下記のようなことを計画しています。
研究内容
1)ジーンサイレンシング
外来遺伝子の導入による新しい形質を持つ植物が可能となっていますが、当初のねらい通りには導入した遺伝子が発現しない例が往々にしてあります。このような現象をジーンサイレンシングと呼んでいます。これは遺伝子の相同性に依存しており、遺伝子の過剰な発現を抑制する機構を植物が保持していると考えられます。またウイルスも植物内では自らの遺伝子を過剰に発現するため、ジーンサイレンシングの標的になります。このためウイルスはジーンサイレンシングにうち勝つため、ジーンサイレンシングを抑制する遺伝子をもっています。このような植物におけるジーンサイレンシングについて研究を進めます。
遺伝子の発現とジーンサイレンシング

白字は発現系統、赤字はサイレンシング系統
2)植物と病原体との相互応答
植物は病原体に犯されると病徴を呈します。しかし、病原体に対する抵抗性を示す場合もあります。このような植物のもつ抵抗性反応には多く遺伝子が関与し、それぞれの遺伝子発現に変化が見られます。このような遺伝子の発現変化を網羅的に検討し、抵抗性反応に関与する個々の遺伝子機能を、形質転換植物を用いて解析します。また、抵抗性付与あるいは抵抗性機構のネットワークの理解に役立てます。
3)植物ウイルスの遺伝子解析と遺伝子間相互作用
ウイルスは宿主植物において増殖・移行のサイクルを繰り返し、多くの子孫ウイルスを作り出しますが、植物を離れ、自身のみでは増殖できません。このようにウイルスは自らの遺伝子情報をもとに、植物側の代謝機構に巧妙に適応して生存をはかっています。ここでは、ウイルス側の遺伝子をクローニングし、試験管内でRNA合成を行う実験系、プロトプラス実験系等を用いて、遺伝子機能ならびに遺伝子間相互作用を解析します。
研究に関するキーワードとしては下記のようなものがあげられます。
遺伝子導入、遺伝子発現、形質転換植物、DNA、RNA、ウイルス、ジーンサイレンシング、防御応答、プロトプラスト、マイクロアレイ
教官紹介
教授/西口正通 (NISHIGUCHI Masamichi)
email :mnishiguATagr.ehime-u.ac.jp (ATをアットマークに変える)
TEL&Fax : 089-946-9816 FAX:089-977-4364(農学部庶務係)
(研究室は1号館4階422号室)
大学院生(修士・博士)の募集
当研究室では「遺伝子発現解析、遺伝子導入植物、植物ウイルス、耐病性、ジーンサイレンシング、マイクロアレイ」等に関心を持つ学生を幅広く募集しています。興味のある方は当研究室に連絡を取ってください。
修士課程は愛媛大学大学院農学研究科、博士課程は愛媛大学大学院連合農学研究科を受験することになります。
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