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愛媛大学大学院 農学研究科 食料生産学専攻 植物工場システム学コース 農産物センシング工学研究室

研究内容RESEARCH

研究内容

 農産物センシング工学研究室は、農産物の品質保持技術の開発のため、分光計測や画像計測技術など工学的手法 を用いて農産物の品質の非破壊計測、自動選別、および最適な貯蔵環境制御に関する教育研究を行います。


近赤外分光法を用いたトマト果実リコピン含量の非破壊計測

CEO

 近年、消費者の食への関心が高まり、機能性野菜が求められています。太陽光植物工場で栽培されるトマト果実には、健康や美容効果があるリコピンが含まれており、注目されています。赤色色素であるリコピンは、収穫後の環境を最適に制御することで増加させることが報告されています。リコピンを増加させる環境制御を行うためには、リコピンを非破壊で測定する技術が必要です。そこで、近赤外分光法を用いて、トマト果実に含まれるリコピン含量を非破壊で計測する研究を行っています。さらに、計測データを利用して、貯蔵後のリコピン含量を予測するモデルの開発も行っています。


包装資材の違いが貯蔵後の青果物の品質に及ぼす影響

CEO

 青果物は収穫後も生命活動を維持しているため、消費者の手に届くまでの流通過程で品質は劣化していきます。大きな原因として呼吸が挙げられており、品質保持では呼吸を抑制することが重要とされています。呼吸を抑制する方法として、青果物の温度を下げる低温貯蔵と青果物をプラスチックフィルムで密閉包装し、包装内の酸素濃度を低く、二酸化炭素濃度を高く保つ、MA(Modified Atmosphere)包装の技術を組み合わせたものが効果的な品質保持技術として期待されています。様々なMA包装資材を用いることで、葉菜類や柑橘類を品質を保持しながら長期貯蔵することに挑戦しています。


次世代型サトイモ広域選果場の実装に資する無人選別技術の開発

CEO

 AI技術を適用し、
@次世代型サトイモ広域選果機に実装できる収穫芋の機械選別
A非破壊法で芋を切らず腐敗に進展する症状を正しく選別できる基本技術
を開発する。

@深層学習を用いた等級分類モデルの開発

CEO


愛媛さといも広域選果場では、手作業で秀品、優品に選別されるが、形状の判定基準が明確に定められておらず、多大な時間と労力が必要である。また、選別の熟練者の平均年齢は70歳以上と高齢化が進んでいることから、自動選別が求められている。そこで本研究では、サトイモの自動選別システムの開発を目的として、深層学習による画像判別技術を用いて等級判定の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルを開発した。作成した等級分類モデルを用いて評価用データで評価した結果、正解率は、秀品で90.0 %、優品で63.3 %になり、全体の正解率は82.0 %、適合率84.9 %、再現率90.3 %、F値87 .4 %となった。Grad CAM結果より、秀品と判定されたものは主にサトイモ自体を見ている傾向が見られたが、優品と判定されたものは主にサトイモの周りを見ている傾向がみられた。以上の結果から、作成した等級分類CNNモデルのサトイモ自動選別システムへの導入が示唆された。

A機械学習を用いた腐敗芋の分類と蛍光画像による腐敗検出

CEO

愛媛県サトイモ広域選果場では、手作業で目視による選果が行われている。腐敗や割れのある規格外サトイモの多くは、出荷の段階で生産農家によって排除されているが、外部に腐敗の影響の少ないサトイモもあるため、外観から内部腐敗芋を選別することは容易ではない。そこで本研究では、腐敗芋の自動選別システムの開発を目的とし、i)機械学習としてkNN(k-Nearest Neighbor classifier)を用いた非線形判別モデルよる腐敗芋の分類、ii)サトイモの表面と断面の蛍光画像による腐敗検出を行った。非線形判別分析の結果、正解率は74.1 %、適合率72.2 %、再現率72.2 %、F値72.2 %であった。また、健全芋と腐敗芋の表面画像の比較を行った結果、いずれの光源においても違いがみられなかった。断面画像の比較を行った結果、365 nm光源で撮影した腐敗芋の腐敗部が発光する現象がみられた。 

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