愛媛大学農学部食料生産 学科
蔬菜花卉学研究室
Laboratory of Vegetable & Flower

R6年度の実験内容

1.モニター参加による不耕起湛水栽培の実施
(1)一般市民のモニターの選出
  R5年に「あいな里山公園」に稲作体験イベントに参加していた者を対象に、翌年のモニター参加実験への協力を依頼した。
(2)市民参加による不耕起湛水栽培に基づく稲作の適正条件の確認
  10組のモニターにより、区分された水田にて稲作を実施してもらい、各作業ごとにモニターの乾燥や意見を求めた。当初11組が参加予定だったが、1組の辞退が生じた。
(3)モニター参加上の課題の確認
  各作業ごとに作業量(ビデオ撮影により探要時間を測定)を確認するとともに、収量を計測した。各作業を通じて課題を抽出した。

  
  

  
  

  
  

2.モニター参加実験(R6)から得られた主な事項
(1)モニターの評価
 モニターの稲作体験に対する評価はおおむね良好だった(表7)。
 評価する点については、1)良い経験になった。2)自然の中で気持ちがいい。3)子供の教育に役立つ。4)運動不足解消。5)友人との絆の強化。の順に評価が高かった(表8)。

 
(2)適正な区画面積
 モニターが、作業する立場から適正と考える水田の面積規模は、モニター1組あたり17.31㎡だった。また、1組当たり平均参加人数は3.27人(大人2.09人、子ども1.18人)だった。
 
(3)稲作に必要な施設
 右表9のように、必須の施設とし不可欠なのが、手洗い・トイレ・駐車場である。あいな里山公園にはこれらの施設は整備されている。しかしながら、今回の実験水田からやや離れて位置するので、今後市民参加型の水田を園内に展開していく場合には、これらの施設の適正配置を考慮する必要がある。

 
(4)稲作に必要な作業量   
 実験水田で人力で稲作を行うと、大人一人が1年間に食するコメを得るために必要な水田面積は441.7㎡が導かれた。この面積と稲作作業可能面積との間には大きな乖離がある。また、この面積の稲作に必要な作業量は、おおむね30人・日が導かれた(表10)。
 一方で、モニターが作業する立場から適正と考える水田の面積規模は、モニター1組あたり17.31㎡だった。この面積は、食料の観点から必要な面積441.7㎡と大きな乖離がある。

 
(5)稲作参加に伴う支払い意思額 
 モニターが参加可能な水田の位置は、自宅から車で平均
50分までなら許容できるという回答が得られた。また、支払い可能額の平均は1組当たり平均 5,250円/年だった。なお、実際にモニターが今回の実験で費やした費用(入園料と駐車場代)は、1組当たり平均6,157円だった(表11)。
 参考までに、今回のモニターには、一般の公園利用者と同様に、駐車場代及び入園料を支払っていただいた。これらの料金の水準について尋ねた結果が右表12である。高いという評価があったものの、適正と回答した者が最も多かった(表12)。
 ちなみに、今回の実験(R6年)でのモニター試験区の平均玄米量は2.23kg(24.52kg÷11区画)だった。玄米から白米への精米による歩留まりを0.8936と仮定する※1と、1組あたり1,772円分のコメ(2.23kg×0.8936×889円※2)が収穫できたことになる。



 
※1)2025年の精米率(10544〔精米〕÷11800〔玄米〕:実験水田全体で)
※2)2025年12月7日のコメ平均価格=889円(4,445円/5 kg):RDSリアルタイムお米(5 kg)の店頭売価平均より

 
(6)その他
 モニター参加の家族連れで、お子さんが夏休みの自由研究の宿題のテーマとして本稲作体験を取り上げて発表したところ、神戸市の社会科作品展に学校を通じて選ばれ、第24回神戸市社会科作品展に出展されたということがあった。

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