食品の衛生管理には、殺菌、除菌、静菌処理があり、原料の調達から消費者に届くまでの流通各段階における細菌数を制御することが極めて重要となる。このとき、目的に適した平板培地による培養を行うことで一般生菌や大腸菌、真菌等の菌数測定が一般的に行われている。しかしながら、殺菌処理等のストレスに曝された際に一部の菌体は死には至らないが生理的機能に障害を受けた損傷菌となり、菌数測定による精確な検出ができないことが知られている。一方、損傷菌は条件次第で損傷状態から回復し、健常菌と同様に増殖する。そのため、損傷菌の回復を考慮した食品の衛生管理の確立が求められている。しかしながら、加熱による損傷菌の作製やその回復に関する研究が行われているものの、損傷菌を再現性高く作製することが難しく、損傷菌の性状については不明な点が多く残されている。
本研究室では500 MPa近傍の高圧処理を行うことで種々の細菌の損傷菌を作製し、損傷回復における温度や栄養条件の影響について調べています。また、本研究についても農研機構食品総合研究所・食品高圧技術ユニットと連携して、研究を遂行しています。
