愛媛大学農学部 環境昆虫学研究室
Laboratory of Environmental Entomology, Faculty of Agriculture, Ehime University English
卒業生の声 > 安藤清志さん

(株)大榮商会専務取締役として,また河北大学生命科学学院動物学兼任教授として活躍されている安藤清志さんのインタビューです.

安藤ご夫妻

― 安藤さんは大学をご卒業後,お仕事と甲虫の研究の両立をされてきた訳ですが,当研究室の研究生となられた理由を教えてください.

安藤 私は幼少の折から今日に至るまで昆虫を捕り続けてきたわけですが,大学を卒業した頃から甲虫採集家としてより甲虫の研究を自己の目標にしようと考えるようになりました.
 それは今から30年ほど前になりますが,専門的な文献を複写させていただく目的で愛媛大学の昆虫学研究室に伺いました.その当時は石原保先生もご健在で,宮武,久松両先生や新進気鋭の酒井先生など活発に研究活動を進めて居られる頃でした.この小旅行は私にとって大きな刺激となり,また得難い先輩を得た思いでもありました.
 その後甲虫類の中でゴミムシダマシ科の甲虫の研究を継続していましたが,東南アジアの諸属の中に模式標本を見ることができず,非常に同定の困難なグループがありなかなか研究の進展が見られませんでした.そのため15年前,模式標本を訪ねて欧州の博物館を巡りました.経済的にも当時としては一大決心が必要な旅行でした.
 欧州の博物館で入手した知見をもとに研究を進めている折,大林,酒井両先生とお逢いする機会があり雑談の中でこの研究をお話ししたところ,酒井先生よりこの研究で学位を取ればよいとご助言いただいたわけです.
 大学の選定に当たっては当時幾つかの選択肢はありましたが愛媛大学農学部の昆虫学研究室が自分の気性に合いそうであるし,またここは正に甲虫の城でありました.学生諸君との交流を含め,今になっても自身の判断は正しかったと考えております.

― 研究室在籍中の研究テーマを教えてください.

安藤 Eucyrtus属及びその近縁属(ゴミムシダマシ科:ニジゴミムシダマシ族)の系統分類学的再検討(東南アジアに固有のゴミムシダマシで,一部の種が日本にも分布しています)です.

学位授与式にて
左側は奥様の幸子さん
(下写真) 安藤さんが研究されているニジゴミムシダマシ族の仲間
Hemicera splendens
Euhemicera wallacei
Euhemicera sp1
Euhemicera sp2
Hemicera splendens
Euhemicera wallacei
Euhemicera sp1
Euhemicera sp2

― これから環境昆虫学研究室を志望される皆様に一言お願いします.

安藤 現代の世界は急速に進展する経済とそれに歩調を合わせるように破壊されて行く自然環境の悪化が懸念されています.また交錯する密度の高い情報により益々地球が狭くなっているようにも思えます.
 この時代に要求される科学的な思考は嘗て考えられなかった方向性をも示唆するようになりました.かといって従来からの基礎的な研究や伝統的な分類手法もその必要性に於いて健在です.どの様な方法論,いかなる研究の切り口を選ぶかはあなた方自身の判断に依存しますが,少なくとも申し上げることができることは誰でもがその研究の深さによって研究者として世界の頂点に立てるであろう事.つまり世界的に見てもこの研究室はすでに高い研究水準を維持しており,その研究環境に不足はありません.情熱を持って頑張って下さい.

― 本日はお忙しい中ありがとうございました.(2002年12月12日取材)

安藤 清志 さん プロファイル
1950年生まれ. 2001年度環境昆虫学研究室研究生.博士(学術).
現在,(株)大榮商会専務取締役として,また河北大学生命科学学院動物学兼任教授として活躍されている.
関連リンク
河北大学http://www.hbu.edu.cn/

もどる

Page Top
Copyright (C) 2002-2003 Laboratory of Environmental Entomology, Faculty of Agriculture, Ehime University. All Rights Reserved.