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えひめ果実の酢酸菌AiFプロジェクト

えひめ果実の酢酸菌AiF株を活用した地域貢献

当研究室では、愛媛県産果実から分離した酢酸菌コレクション「えひめ果実の酢酸菌AiF株」を利用した、地域発酵産業への貢献を目指しています。
【えひめ果実の酢酸菌AiFプロジェクトとは】

■ 伝統的なお酢づくりに学ぶ「にごり酢」商品の開発

にごり酢ボトル 2020年9月14日
えひめ果実の酢酸菌AiF40株を活用した
「にごり酢」商品が村要本店様から発売になります!


プレスリリース

村要本店ロゴ



◯ 村要本店株式会社(松山市三浜)、愛媛大学附属高等学校との共同研究
「酢 it means good!」横泳 にごり飲む酢 みかんの甘み
「酢 it means good!」立泳 にごり飲む酢 みかんの酸っぱみ
「酢 it means good!」犬掻 にごり飲む酢 えひめのうまみ


伝統的なお酢づくりとは

当研究室では、隣接する愛媛大学附属高等学校理科部との高大連携教育として、「伝統的なお酢づくりに関わる微生物についての研究」を進めてきました。

お酒、醤油、味噌などの多くの発酵産業では、そこに作用する発酵菌は試験管等の中で大切に保管され、純粋培養した発酵菌が新しい醸造ごとに準備され、樽に加えられます。
それに対して、全国各地で営まれている伝統的なお酢づくりでは、醸造が済んだ樽の中で育った発酵菌(=酢酸菌)の膜を、原料の入った樽に「植え継いで」新しい醸造が始まります。

この「樽から樽へ菌を植え継ぐ」操作が、創業当時から現在に至るまで、繰り返し行われています。
蔵によっては、明治、大正、昭和、平成そして令和という100年以上もの永い時間をまたいで。

継代培養

・そこには、どんな微生物がいるのだろうか?
・お酒がお酢に変化する過程でどのように関わっているのだろうか?
そんな興味を持った高校生が、酢酸菌研究を専門とする当研究室へ相談に来たのが始まりです。

そして、高校生たちは、
・伝統的なお酢づくりには、複数の微生物が働いていること。
・蔵ごとに微生物の種類や数に特徴があること。
・自然界に棲む酢酸菌に比べ、お酢を作る能力が優れていること。
など、多くのことを明らかにし、各地の蔵で特徴的な味をもつお酢ができていることを知ります。
【愛媛大学附属高等学校理科部との高大連携の成果】

やがて高校生たちは、酢酸菌の研究を進めている農学部生たちと、
「お酢づくりの伝統技術とともにお酢の良さを伝えたい。」
と思いを募らせるようになります。
自分たちが分離・採集した愛媛の自然の酢酸菌「えひめ果実の酢酸菌AiF株」を活用して。

この思いが、松山市三津浜の株式会社村要本店さんに届き、本プロジェクトがスタートしました。

「えひめ果実の酢酸菌AiF株」と「伝統的な静置発酵」によるお酢づくり

(1) 菌株の選抜
附属高生は農学部生の指導の下、愛媛の豊富な果物を分離源として酢酸菌を分離してきました。 そのコレクション「えひめ果実の酢酸菌AiF株」から特徴的なお酢を作り出す菌株の選抜を行いました。
同じ原料なのに発酵菌が変わるだけで、お酢の香りや風味が大きく変わっていました。
今回、お酢らしい香りの「AiF120株」、ワインのような甘酸っぱい芳香をもつ「AiF40株」を選抜しました。
お酢商品化スクリーニング お酢商品化

(2) 発酵の開始
村要本店さんの醸造蔵の一角をお借りして、醸造を開始しました。 醸造法はもちろん伝統的な静置発酵。実験室で増やした発酵菌を投入しても、樽の中は透明です。
お酢商品化 お酢商品化

(3) 発酵が進まない!
10月に入ると蔵の気温も下がり、発酵速度が低下しました。しかしながら、蔵の中はお酢の良い香りで一杯です。 さすがに村要本店さんの「蔵つき酢酸菌」は発酵力が強いようです。それに対し「天然酢酸菌」AiF株は手厚い管理が必要でした。
樽を保温できるように工夫し、酸素の供給を助ける通気管を自作しました。
お酢商品化 お酢商品化

(4) 醸造成功
11月になると更に気温が下がりましたが、保温庫のおかげで順調に発酵が進みました。保温庫の中からお酢の良い香りがしてきました。 温度管理を徹底する、通気を良くするために、樽に入れる量を減らす、など実験によって得られたデータを醸造に活かしました。
自作の通気管の具合もよく、液表面にしっかりとした菌膜を張ってくれました。
お酢商品化 お酢商品化

(5) 商品化
毎日の健康のために、どのようにしてお酢を摂るようにできるか。
高校生と大学生が一緒になって、アンケートを取りながら、お酢加工品を検討しました。
「えひめ・松山産業まつり すごいもの博2019」に出展し、一般の方の意見を取り入れて商品を完成させました。
お酢商品化 すごいもの博 すごいもの博 すごいもの博

(6) 商品発売に向けて
お酢の良さをどう伝えるか、愛媛らしさは?パーッケージの細かな部分まで、高校生、大学生、そして村要本店さんと議論を重ねました。
高校生・大学生の熱意はコロナにも負けません。今こそ、菌活パワーで免疫力アップを!!
お酢商品化 お酢商品化