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講義紹介

農業生産学コース所属の全教員が担当している「推しの講義」について紹介します.
各講義名をクリックすると開きます.

賀屋 秀隆 分子生物資源学研究室 准教授

 


「農業分子遺伝学」という名前を聞いて、「少し難しそう…」と感じるかもしれません。でも実は、身近な食べ物や植物の“なぜ?”を解き明かす手がかりがたくさん詰まった、とても面白い分野です。
この授業では、まず「遺伝子って何?」「 DNAとゲノムはどう違うの?」といった基礎知識からスタートします。たとえば、私たちの体を作っている 設計図 とも言える DNAは、どのように情報を伝えているのか? タンパク質は何をしているのか? を学びながら、遺伝が起こる仕組みをしっかりと理解します。
さらに、メンデルの法則や染色体の構造、エピジェネティクスなど、高校の生物で習う内容をより深く探求します。そうすると、これまで「そういう仕組みなんだ」と漠然と思っていたことが、実はとても論理的なプロセスだとわかってくるはずです。
後半の授業では、「従来の育種」(昔からの品種改良)や「 DNAマーカー支援選抜」、さらには「遺伝子組換え技術」や「ゲノム編集 CRISPR/Cas9」といった最新のバイオテクノロジーに触れます。スーパーで見かけるトウモロコシや大豆の裏側には、こんな技術が関わっているのかもしれませんよ。
この講義を通して、身近な食料や農業に関わる技術が、どのように科学的な仕組みに支えられているのかを知ることができます。将来、農業やバイオサイエンスの分野で活躍したい人はもちろん、「生命の不思議」に少しでも興味がある人なら、きっとワクワクする内容です。ぜひ一緒に、植物や農作物の奥深い世界を探求してみましょう。

小林 括平 分子生物資源学研究室 教授

 

概要:現代生命科学への入り口として設けられた科目です.高等学校の「生物基礎」の上に知識を積み上げるように設計されていますが,予習教材も用意されており,物理・化学で受験した学生,「生物基礎」を履修しなかった学生も心配無用です.
食料生産学科には,将来的に生物系(農業生産学),生物・工学系(植物工場システム学)及び社会科学系(食料生産経営学)分野に進む学生が混在していますが,この講義では進路に関わらず,すべての食料生産学科卒業生が知っておくべき現代生命科学の基礎について講義しています.
生物の体の構造から始まり,体を作り上げている物質(タンパク質や DNAなど),さらにそれらの働きについて話を進めていきます. iPS細胞などを題材として複雑な構造の体を作る仕組みについても言及します.また,生物が生きている状態を保つために必要な,生体内における化学反応(代謝)についても平易に説明します.さらに, DNA上の遺伝情報がどのように生物の構造や性質を決めているのか,その遺伝情報がどのように子に伝えられるのかについて講義します.それらに加え,生命の起源や,新しい作物の開発の基礎にもなる生物進化のメカニズムについても紹介します. 2年次以降に,作物の生理・生態,ゲノム解析やゲノム編集などの作物開発に関わる先端技術などについて学ぶための基礎を固めるとともに,一市民として食料や環境,およびそれらに関わる新技術について考える素養を醸成することを目指します.
 

上野 秀人 土壌肥料学研究室 教授

 

作物を育てるためには土壌、肥料および土壌養分管理の基礎知識が必要不可欠である。さらに農耕地の資源・養分循環は地球環境保全の要ともなるべき課題の一つになっており、次世代農業において必ず視野に入れておかなければならない重要事項と言える。本授業で土壌・施肥に関する基礎知識を身につけることは他の授業を受講する上でも大きな力となる。
 本授業では、土壌分野では土壌の成因、土壌の構成成分、粘土鉱物、イオン交換反応、土壌の酸化還元反応、水田土壌と畑土壌の特性および問題土壌対策について述べる。施肥分野では肥料栄養素、作物栄養に関する法則、施肥設計技術、環境保全型土壌管理法などについて解説する。その他、世界の食糧生産、養分循環、地球環境問題、生物資源活用型農業についての最新情報について説明する。
 
(1) 農学系公務員および普及員等の専門職を志望する者の必須教養として、土壌および施肥についての基本的な知識を身につけられる。
(2) 土壌、作物に対応した具体的な土壌管理方法、施肥設計できる。
(3) 栽培、育種、病虫害、除草、気象、食品栄養などの他分野の知識と連携させ、発展させるための基礎概念を身につけられる。

 
1.土壌とは何か,土壌の機能
2.土壌の成因と土壌型
3.粘土鉱物の生成とイオン交換機能
4.土性,土壌水分,土壌空気
5.土壌有機物
6.土壌pH,置換酸度,電気伝導度
7.土壌微生物の働きと窒素循環
8.有効生物を活かした土壌管理技術
9.植物栄養(三大要素、二次要素、微量要素)
10.作物栄養生理に関する法則と養分吸収システム
11.水田土壌の特性と不良水田改善
12.畑土壌の特性と不良畑改善
13.肥料の種類と特性
14.施肥法(施肥設計)
15.農耕地土壌の具体的改善策

 
 

八丈野 孝 植物病学研究室 教授

 

植物は基本的に種々の微生物に対して抵抗性である。植物病原菌は如何にしてこの抵抗性を打破して植物に感染できるようになったのか。この授業では主に植物病原菌の感染戦略と、それに対する植物の防御反応に焦点を当て、病気に至るまでの過程について概説する。受講生は、上記内容を説明でき、種々の問題を考える姿勢を身につけることができる。
 
1 植物病原菌が進化の結果獲得した感染戦略と、植物の防御反応の実態が説明できるようになる。
2 実験データの正しい解釈の仕方を習得することができる。
3 種々の問題について疑問を持つようになり、如何に考えるかという姿勢を身につけることができる。

 
前半(座学)
 1:植物病理学概論の概要説明と植物病理学の導入
 2:植物病理学の基礎①
 3:植物病理学の基礎②
 4:主要作物病害と発生メカニズム①
 5:主要作物病害と発生メカニズム②
 6:主要作物病害と発生メカニズム③
 
後半(アクティブラーニング)
 7:プレゼン方法の説明とグループ分け、調査対象の選定
 8:作物病害についての情報収集①
 9:作物病害についての情報収集②
10:プレゼン資料の作製、添削①
11:プレゼン資料の作製、添削②
12:リハーサル、最終添削
13:プレゼンテーション①
14:プレゼンテーション②
15:小テスト(知識定着確認)、プレゼン評価

 

大橋 広明 蔬菜花卉学研究室 助教

 

資源植物を中心に、植物を学ぶために必要不可欠な、植物の構造や形態を理解する。
1)植物体の基本的なつくりを説明できる。
2)植物が生きるため、繁殖のために獲得してきた葉、茎、根の変態について理解し、個々の植物の形態的特徴などを説明できる。
3)主要な作物について、利用器官と形態との関係などを説明できる。

 植物体は、茎・葉・根からなり、それらを多様に変化させること(変態)によって、様々な環境に適応してきた。一方、人間は植物の多様な形態的変化を利用し、さらに特殊化することによって食用となる作物をはじめ、様々な資源植物を創りだし、利用している。植物を理解する上で最も基礎となる植物体のかたちや構造に関する基礎知識を得ることができる。
 そこで、植物体の基本的な構造を説明した後、茎、葉、根の形態とそれぞれの変態、葉と茎が複合してできている花や果実の形態などについて、具体例を挙げながら詳しく説明するとともに、資源植物の利用器官や繁殖等との関係についても取り上げる。また、可能な範囲で実際に植物を観察する。

 
 

吉冨 博之 環境昆虫学研究室 教授

 

「昆虫の惑星」と呼ばれるほど、地球上は昆虫であふれています。農業害虫、衛生害虫、天敵、食用昆虫など、人間との関わりも様々です。昆虫についての基本的な知識を身につけつつ、昆虫の系統分類に関する話題を主軸に講義します。講義の最初には、面白いと思った学術論文を毎回紹介しています。
加えて身近な環境に住む生きものとそれに関連する環境問題についても講義します。私自身が大学教員になる前は環境アセスメントの生物調査を生業にしていたことや、幼いころから昆虫だけでなく鳥類や貝類、魚類など様々な生きものが好きなことから(俗に生きものオタクという)、これまでの経験や知識を基に話しています。特に外来種問題や絶滅危惧種問題、シカ問題について詳しく解説します。
身近な環境とそこに生息・生育する昆虫や動植物に少しでも興味を持ち、日頃から目を向けてもらいたいと思っています。
 
ラオスのマーケットで売られていた様々な昆虫食

近年日本に入ってきた外来種のチュウゴクアミガサハゴロモ。害虫化する可能性があり注目される。

札埜 高志 蔬菜花卉学研究室 准教授

 

トマトやレタス、タマネギ、イチゴなどは私たちの生活にとても身近な野菜ですが、これらについて知らないことが案外多いと思います。野菜がどのように栽培されるのか、収穫された野菜はどのようなルートでスーパーマーケットに運ばれるのか、野菜のおいしさや栄養はどう決まるのか、店頭で売っている野菜は安全なのかなどについて紹介しています。
 農作物の栽培が始まったのは今からおよそ一万年前からだと言われています。ヒトが何千年もかけて野生の草を現在の野菜になるまで改良してきました。この長い栽培化の歴史は国や地域特有の様々な野菜を生み出しました。そして現代は遺伝子組み換え技術を応用して、とても早い開発スピードで新たな野菜品種が作られています。野菜学の授業は、昔ながらの品種や栽培技術から遺伝子組み換え作物やスマート農業まで幅広い内容となっています。
 日本全体での野菜の総売上げ額は毎年 2.2から 2.6兆円くらいです。農業としては畜産に次いで高く,日本にとって大きな産業と言えます。また野菜はナス科、アブラナ科、ウリ科、キク科、セリ科、ヒユ科など多様性に富み、植物学的にも興味深い領域です。野菜学を通して学問の面白さを感じたり,社会の仕組みを学んだりしていただければと思います。
 なお、授業のタイトルは野菜学ではなく蔬菜(ソサイ)学となっていますが、その理由も授業でお伝えします。
 

羽生 剛 果樹学研究室 准教授

 

 果樹とは,イチゴやスイカ,メロンといった蔬菜(野菜)に含まれるもの以外のいわゆるくだものと呼ばれるミカンやリンゴ,ナシ,カキ,ブドウ,バナナなどの果実やクリなどの堅果(ナッツ)を着ける草本もしくは木本の植物のことで,果樹園芸学はこれらの植物を対象とした学問分野です.果樹園芸学は,果樹栽培を行う上で重要な収量や果実品質に関係した植物の生理や生態,その遺伝子レベルのメカニズムといった基礎研究からそれらを利用した栽培技術の改良・開発といった応用研究までの幅広い分野を含んでいますが,果樹園芸学 Iではそれら全体をできるだけカバーできるような内容の授業を行っています.
具体的な内容としては,果樹の生育や栽培は一年周期ですので,春の萌芽・開花から果実の成長,成熟までの果実や樹体の生理と各々の生育ステージの際に行う栽培管理について基礎と栽培を並行して説明していき,年間の生育や栽培を説明した後は年間の栽培管理以外の部分である果樹園の開設や果樹の育種,果実の機能性についての説明を行っています.実際の授業内容は以下の通りです.
第1回  果樹についての概説
第2回  受粉・受精・結実
第3回  着果管理・果実の成長
第4回  果実の成長の続き・摘果
第5回  果実の成熟1
第6回  果実の成熟2
第7回  収穫・貯蔵
第8回  中間テスト
第9回  テスト解説・病害虫防除
第10回 生理障害
第11回 花成・休眠・剪定
第12回 施肥・土壌管理・開園
第13回 果樹の育種法
第14回 果物の機能性
第15回 期末テスト・振り返り
 これらの授業で果樹の基本的な生理や栽培技術について学ぶことができますが,個々の果樹の種類によって生理や栽培技術がことなるので,果樹園芸学 IIでその点を補っています.

荒木 卓哉 作物学研究室 教授

 

作物学は大面積の農地を用いて自然環境との適応のもとに生産される、イネやムギのような食用作物、トウモロコシのような工業原料や飼料作物などを対象に、それらの改良と持続的な生産のための理論と技術の構築に関わる学問分野です。この授業では、作物生産に関わる自然環境、栽培技術、様々な農法および日本と世界の農業技術の発展について紹介しています。例えば、お米はなぜ日本の主食となっているのかについて考える場合、国内の気候や風土、イネを栽培する水田の特徴と多面的な役割、生産量、栽培技術の発展に関する歴史、畑作中心である欧州農業の歴史と栽培様式等を紹介し、総合的に理解を深めていきます。また、世界レベルでの人口増加、地球温暖化の進行および農地の劣化が進行している中、課題となっている作物生産性の向上と持続性の両立を実現することについても紹介しています。本コースでは2年生後期以降に農場実習、種々の実験および卒論研究等の実験実習科目を開講しています。本授業で得られた知識は実験実習科目で応用できるように、知識と実践を結びつけることを心がけて実施しています。

橘 哲也 畜産学研究室 教授

 


ウシ・ブタ・ニワトリといった家畜の飼育方法や生産物、生体機構などの基礎的知識について概説する。これにより畜産に対する基礎的知見を得る。次に、動物(家畜)の生体と、畜産にとって重要である栄養についてより詳細に説明する。具体的には、家畜の栄養素摂取や利用の説明を行う。家畜は人間が利用することができる動物であり、家畜について説明する際には人間との関係を欠かすことはできない。そのため、授業の要所で家畜と人間の関係についても概説する予定である。
 
コラム
大学には「何か」がある

畠山 友翔 作物学研究室 助教

 

みなさんは、作物の種類をいくつご存知ですか?また、どれくらいの作物を播種から収穫まで栽培できますか?人々の生活する上で必要不可欠な「作物」は多種多様であり、植物の体の大きさや構造は作物によって大きく異なります。例えば、日本の主要作物であるイネは、根や葉鞘(葉の付け根の部分)に空気を通す通路のような構造が発達しており、根が完全に水の中にあっても窒息することなく育つことができます。この構造があまり見られないムギ類やトウモロコシは根が冠水するとすぐに成長に悪影響が現れるため、水はけのよい栽培が求められます。このように各作物の特徴を知ることは、それぞれの作物に適した栽培を行い、生産を増加させるため必要不可欠です。本講義では、イネ、ムギ、ダイズ、トウモロコシ等、様々な作物の形態、生理、生態的特性、栽培管理、生産物の品質・利用ならびに生産状況に関する基礎知識について学び、各作物のスペシャリストを目指します。
 

鮎川 侑 植物病学研究室 助教

 

植物の根から感染する土壌病原体は作物生産に重大な被害を与えています。それでは、土壌病原体はどのように植物に感染し病気を引き起こすのでしょうか?また、植物は土壌病原体に対する対応策をもっているのでしょうか?この講義(私が担当するコマ)では、土壌病原体と植物の相互作用についての知識を深めることで、これらの問いに答えられるようになることを目標としています。私は土壌病原糸状菌であるFusarium oxysporumを対象として研究をしています。まず、このカビに関するこれまでの知見と、私が進めているプロジェクトのデータなどを交えて講義をしています。具体的には、F. oxysporumの生活環や感染メカニズムなどを詳しく説明します。その後、他の植物病原糸状菌や、細菌、線虫などを取り上げ、様々な土壌病害についての知識を得られるように努めています。土の中での植物と病原体の攻防は分かっていないことが多いので、最新の知見を反映した講義づくりを目指しています。講義の経験が少ないので手探りで行っていますが、受講者とコミュニケーションを取りながら講義スタイルや内容をブラッシュアップしていきます。ご興味がある方は是非受講してみて下さい。 

各教員

 


 

各教員

 


 

各教員


農業生産農学実験では、昆虫に関する実験・実習も行います。害虫やその天敵昆虫を観察したりパソコン演習を行ったりしますが、その中でも一番人気なのは、キャンパス近くを流れる石手川公園まで移動して行う昆虫採集です。昆虫採集用ネットを振り回し昆虫採集しているうちに、学生たちも童心に返り楽しんでいます。昆虫が苦手な学生は、得意な学生に手伝ってもらって何とか採集します。バッタやチョウ、トンボなどの大型の昆虫をゲットすると歓声があがります。時にはタマムシやクワガタの仲間なども採集できることもあります。
春と秋にそれぞれ 1回採集し簡易な標本を作製し、それを基に冬に図鑑や専門書を参考に昆虫の種類を調べます。この作業は同定とよばれています。昆虫は種数が多く、図鑑に掲載されていない種もたくさんいるため、昆虫学研究室の先輩方にコツを教えてもらいながらの同定は、かなり根気のいる作業になります。こうした昆虫の同定作業は、農業害虫の調査だけでなく環境調査(環境アセスメント分野など)や家屋害虫調査(ペストコントロール分野など)でも行われており、そういった方面に就職する学生には良い経験になると思います。

附属農場での「農場実習」

 

農場実習 I & II

3年生 通年(前期と後期) 月曜日 1限目〜4限目

農学部の中でも農業生産学コースだけが附属農場で通年の農場実習I&IIを実施しています。農業や環境保全に興味を持つ学生にとって非常に魅力的な講義です。この実習では、農作物の栽培方法や家畜の飼育、トラクターなどの農業機械の操作方法を学ぶだけでなく、フィールド調査や研究を通じて、実践的な知識と技術を身につけることができます。例えば、田んぼでの水稲の移植や畑でのタマネギの収穫、ブドウや柿といった果樹の管理、さらには土壌調査や挿し木の発根調査など、多岐にわたる農業体験が含まれます。班ごとに分かれて課題を設定し、その解決に取り組むことで、チームでの協力や研究的な思考力も養われます。また、環境保全型農業にも触れ、持続可能な農業の重要性を学びます。この実習は、自然の中での実践的な学びを通じて「農業の面白さ」を実感するとともに、未来の食料生産や環境問題解決への第一歩となる内容が盛りだくさんです。農業や自然に興味があり、地域や世界に貢献したいと思う方にとって、この講義は理想的な学びの場となるでしょう。
 
 

 

附属農場のホームページ

 
附属農場の紹介動画はこちら ぜひご覧下さい
 

農学部の教員紹介 

 
 農業生産学コースの教員は下記教員紹介パンフレットの6〜16ページに掲載

 
農学部教員紹介パンフレットはこちらへ